別荘の湿気
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別荘をお持ちの方で、湿気に悩まされておられる方は、けっこうおられるようです。
リゾート地の建物の立地環境は自然の野山のままで、都市圏の郊外にある住宅造成地のように、水はけや雨水対策などはなされていません。
自然に生い茂る草木は雨水などを根に貯えていますので、とうぜん土壌は水分を含んでいます。
従来の日本建築は地面から上がって来る湿気を緩和させるためと、夏場の気温上昇をある程度防ぐために、床下に空気が流れるように床が高く作られ、風通しの良い物となっています。
また、建屋自体も気密性は現代の建築より悪く、通気性の良い構造となっていました。
代表的な建築物は奈良にある正倉院。
高床式で木造。
千数百年昔に作られた建造物ですが、日本の気候風土に合わせた理想的な作りになっています。
私の所有物件は床下がスカスカ。
湿気はこもらないが、冬はメチャ寒い。(^◇^;)
様式建築でいうと「ログハウス」が代表的です。
木は呼吸すると言われるように、空気中の湿気を吸い取ったり吐き出したりして調湿に優れた構造体となっています。
ところが、現代の別荘の建築で多く見られるのですが、床下が防湿を目的としたコンクリート基礎で覆われ、建屋も気密性の優れた健在を用いて造られていることが多いです。
床下基礎がコンクリートで覆われていれば、湿気が全く上がって来ないかと言うと、そうではなくてコンクリートに覆われ密閉されがちになるため通気が悪く、地中の湿気の逃げ場が無く建物に上がってきます。
更にコンクリート自体ある一定の水分を内部に含んでいます。
周囲の環境の湿気が多くなると、コンクリートはその水分を吸い込み、乾燥してくると内部の水分を吐き出しながら強度を保っています。(詳しいことは建築屋に聞いてね)
コンクリートが必要以上に水分を吸い込んでしまうと、吐き出す量も自然多くなります。
周囲に水分が多くあればあるほど、それは顕著になります。
気密性の高いマンションの室内の湿度が高いのは、コンクリートが吐き出す湿気が一因でもあります。
上の写真のように、壁際に家具を置いていて、通気性の悪くなった場所にはカビが発生しやすくなります。
現代の住宅建築では基礎部も密閉性が高く、基礎立ち上がりに小さな換気口しか開いていません。
四方をアスファルトやコンクリートで覆われ、下水道が完備されている、幾つもの家が建ち並ぶ住宅街ならばこれで充分なのです。
ところが、四方を水分が多く含んだ野山に囲まれた別荘地に、その建築をそのまま持ち込んでしまう建築業者が多いため、予備知識のないオーナーがそういう物件を購入してしまって、地面から上がって来る湿気に悩まされることになります。
湿気が原因となる住宅の弊害は、第一に
『カビ』。
そして、ダニやムカデなどの害虫の発生があげられます。
数ヶ月ぶりに訪れた別宅に入った途端に、土臭い匂いで充満しているのは、カビの発生が第一に考えられます。
別荘での湿気対策と言えば、このカビ対策と言っても過言ではありません。
カビは目に見えない場所、床下の断熱材の中とか、壁板の裏側とか、そして基礎部のコンクリートとかに気付かない間に繁茂していきます。
気が付いた時は、どんなに掃除・換気してもカビ臭が取れない、長い間来なかったら押し入れの布団がカビだらけ、と言う事態になります。
これはマンションのケースですが、カビだらけの畳。
ご存知のように、カビの胞子は普段から無数に空気中を漂っています。
ですから、カビが生えるのを根本から絶つということは不可能です。
したがって、次の方法をとります。
カビに気付いたらそれ以上繁殖させない。
そのためには、
湿気をこもらせない。
繁殖したカビを上手に除去する。
この2点が大事です。