山の古別荘のDIY記

ホウ酸塩について

★目次ページに戻る

 ゴキブリ駆除のホウ酸団子で有名なホウ酸は、殺菌剤、殺虫剤、医薬品(眼科領域)、難燃剤、として私たちの生活の中で普通に使用されています。

 ホウ酸塩はホウ酸と塩の化合物で、土中など自然界にどこにでも普通に存在する物質です。
 ホウ酸自体は水に溶けにくい物質ですが、ホウ酸塩は水に溶けます。


 ホウ酸塩
 http://kominka.yanoss.jp/eco/01_dot/dot3_1hoensan.html

 人体に対しての毒性が低いため、シロアリ被害の住宅で使用される機会が増えてきている素材です。
 入れ歯洗浄剤にも使用されている


 
ホウ酸塩の毒性について
 http://homepage3.nifty.com/BORON-TECH/tec2-5.html
 『少量(茶さじ一杯)をのみこんだ程度なら、健康な大人には害はありません。
 もっと多量にのみこんだ場合は、コップ2杯の水を飲ませ、医師の診断を受けてください。』文中より





 ホウ酸塩を使うことになったきっかけは木材の腐朽を食い止めるため。

 山中や海辺などの環境下にある住宅の木材部分は、腐朽との戦いと言ってもいいぐらいで、塗料も防腐剤も塗らないでおくとわずかな期間で腐朽が始まります。
 既に腐朽が始まって、木材内部に進入した腐朽菌を何とかして退治しようと考え、試行錯誤し続けて巡り会った素材です。


 木材腐朽菌の正体はカビ。
 湿度の高い環境の住宅内部で発生した異臭も正体はカビ。

 「ああ、それじゃあ住宅のカビ臭対策にもホウ酸塩が応用できるじゃないか!」

 と考えました。


 ホウ酸塩はシロアリやゴキブリなどの害虫を退治してくれるだけでなく、カビ菌も死滅させ、しかも化学合成薬品ではないので揮発したり分解したりせず、その効果は水に溶けて流れ出したり塗った部分がはがれてしまわない限りほぼ永久的
 木材などに浸透すると火が燃え移りにくい難燃材ともなります。

 そして微量ならば人体に入ってもほぼ影響が無く、触れても無問題なので子供がいてもOK。
 気化しないので室内でも使える。
 イエダニマダニも時間をかければ退治が出来る。
 *植物、熱帯魚の飼育、ネコなど体毛を舐めるペット飼ってる人は悪影響が出るのでご注意を。


 すっげえ万能薬じゃないのか、これ? (・ω・;)



 と、気づいたわけです。










 ホウ酸塩が含まれた防腐材や防虫剤の原料は、アメリカやトルコなどの国の地下にあるホウ酸塩鉱脈から採掘されています。
 鉱物の一種なんですね。
 その鉱物から精製され、日本国内に輸入されて薬品とかと混合されて、様々な製品で販売されています。

 ホウ酸塩が主体となっていて普通に入手出来る粉剤や水溶液の製品は、国内では『白アリ通行止め』などの製品が販売されています。
 450g、4000円前後。
 楽天やAmazonなどで入手可。

[広告]

白アリ通行止め 450g入 ホウ酸塩の安全な防虫・防腐剤

価格: 4,279円
(2024/02/14 14:52時点 )

感想:1件


 Amazonより楽天の方が値段も安く品数が多いです。

 「白アリ通行止め」のパンフ
 http://www.ysds.co.jp/html/pdf/siroari_tukou.pdf




 輸入物:

 ティンボアPCO(ホウ酸塩 防腐シロアリ駆除剤)
 http://kominka.yanoss.jp/eco/01_dot/home_dot.html

 ティンボア
 
http://www.woodencanoe.net/epoxy/borate.html
 ヒロ・ウッデン・カヌー・ショップ
 ここは500g、1600円と安い。(100gから25kgまで小分けの販売有り)



 500gで500ccペットボトル容器より少し多い容量になる。



 ちなみに、ホウ酸塩500gほどの粉末があれば10%溶液で50リットルぐらい作ることが出来ます。
 2018年6月4日訂正&追記 ↑単純な計算間違いをしていました。
 正解は「5リットル」です。
 訂正いたします。
 間違い箇所のご連絡有り難うございました。感謝いたします。m(_ _)mペコ


 1リットルで10㎡以上塗ることが出来ます。
 ヒロ・ウッデン・カヌー・ショップさんのページのデータですと、塗布量の目安は1平方メートルあたり200mlです。
 2回塗りで500gで11.3平方メートル塗ることが可能なようです。


 問題点:
 防腐剤を塗っておけば腐朽菌に冒されにくいですが、屋外のウッドデッキなど雨がずっとかかる環境下では溶剤が流出してしまいます。(溶脱と言う)
 このような条件下では、ホウ酸塩が流れ出してしまわないように、撥水剤塗るとかもう一工夫が必要で、メンテナンスを絶やさぬようにしなければいけません。

 使い方は塗りたい場所に水溶液をハケで塗るかスプレーで吹きかけるだけ。
 木材に塗ると内部へ浸透していくので、出来れば二度塗りをオススメします。





 ホウ酸塩水溶液を作ります。






 500mlのペットボトルにホウ酸塩粉末を50g入れます。
 これに水を入れて混ぜると約10%強の濃度の水溶液になります。
 ホウ酸塩の飽和濃度は10%なので、これ以上粉末を入れると、塗って乾燥した際に結晶が木材の表面に多く残ってしまって汚くなります。

 カビ菌には1%以上の濃度で十分な効果があるらしいので
(シロアリには3%)、室内ならば10%の濃度の水溶液で十分すぎます。
 ホウ酸塩は結露などにより木材が濡れてしまった場合、水分の浸透とともに内部に入っていく性質があるので、少し濃いかな?ってぐらいにしています。

 濃度を薄めて使用したい場合はお好みで。


 注意:
 10%以上の濃い水溶液は粉末が溶けきらないので、スプレーでは使用出来ません。
 すぐにノズルが目詰まりします。
 また、低濃度の水溶液でも、スプレーでの散布をした後に放置しておくと、ノズル内部で乾燥して目詰まりします。
 スプレーでの使用は必ず使い切るか、余ったら他の容器に移し替えて、ノズルは使用後に真水を噴射させて洗浄してください。






 50gでこんなに量があります。
 人間の致死量は180~200g。





 水を入れる際に、食器用洗剤を2滴ほど入れます。
 これは水の表面張力を無くして木材に浸透しやすくするためです。
 冷水だと溶けにくいので、給湯の暖かめのお湯を使います。


 出来た水溶液は最初は乳白色ですが、しばらくすると粉が水に溶けて半透明の溶液になります。

 ペットボトル1本分も作ると家の中の木部に塗っても大幅に余ると思います。
 こんなに必要は無いのですが、この水溶液は腐りません
 余ったら二度塗り用に使うとかしてください。

 子供がジュースと間違って誤飲したら中毒を起こします。 ご心配の場合は必ず捨ててください。
 捨てる場合は下水などに流さないでください。
 不要な布などに染みこませて廃棄してください。








 添付は単純に刷毛や雑巾に染ませて塗っていくだけです。

 注:木材は水分を含んで再度乾くときに歪んだり割れたりするので、塗る場所や塗りすぎに注意。







 高い場所や手の入りにくい隙間などはコテバケなどを使うと塗りやすいです。







 下の写真は雨漏りで水分を含み、色が変わってしまった棟木。
 結露などで再び水分が付着するとカビの発生の原因となります。






 これにコテバケで10%溶液を塗りました。
 乾くと粉が吹いて白くなるかと思ったのですが、そういうこともなくきれいな状態です。
 逆にくっきりとした濡れ跡がわかりにくくなりました。










 このホウ酸塩粉末。
 日頃の目視による観察だけで記録には残していませんし、詳細なデータも所有していませんが、腐朽菌やカビ、コケに対して絶大な威力があるのがわかってきました。

 私が今まで添付してきた場所では、一度塗っただけでコケもカビも二度とお目にかかっていないのです。
 しかも雨が頻繁に当たる場所にも関わらずです。
 屋外の木部では保護塗料を上から塗っていますが、塗料が劣化してきて水分が浸透し始めても腐朽が再発していないのです。
 塗料が劣化してきたらまた上から塗っちゃいますし・・・




 この家を購入した時に一番最初に補修したデッキ部分で、ホウ酸塩を塗った場所。
 頻繁に雨が吹き込んでくる部分。
 今年の多雨多湿で他の箇所が腐朽菌にやられたのに、ここはコケすら付かず今も現役。

 亀裂もあるし半分腐っていたので、本来ならば真っ先に交換対象となったであろう場所なのに。




 物置のステップ補修の時にホウ酸塩を施した場所。
 根太はクラックが入ってるぐらい腐朽していた。
 雨が常にかかる場所だが現在でも腐朽の進行は見られない。






 直近の2015年の9月に、バルコニーの床板に木材腐朽菌の一つであるツノマタタケが生えていました。
 ここは雨が降ると常に濡れてしまう場所。
 腐朽菌に対して日常から警戒していた場所ですが、昨年の多雨でとうとう腐朽菌に支配されてしまいました。




 この菌は水分が少ないとこういう状態、雨などで水分が多くなると鮮やかなオレンジ色で太くなります。



 いい実験体です。
 デッキ材の裏側と下の根太との合わさる面は防腐防水塗料が塗られてはいません。
 その隙間に水分が入り込み腐敗菌が育成されてしまったと思います。
 このデッキ材の内部深くにも菌が入り込んでいると思います。

 10%ホウ酸塩水溶液をシリンジ(注射器)で添付しました。
 ホウ酸塩添付3時間後。
 ボロボロになってきて、夕方には殆ど見えなくなっていました。






 そして同年の11月。





 雨が激しく吹き込んだ日に同じ場所を見ても、腐朽菌は全く見えず。
 気温が下がったので木と木の隙間で菌糸が眠っているだけかもしれないので、今でも観察中の場所ですが、どうやら菌の活動を抑えることに成功しているようです。



 ホウ酸塩による木材の腐朽防止、カビ繁殖防止の経過観察をずっと続けておられる方がいらっしゃいます。
 ホウ酸塩を塗ったウッドデッキが雨で流れ落ちてしまったらしく、最近緑色のコケ状の物が付着していたらしいのですが、再度塗り直すとすべて消えて元の状態に戻ったと報告されていました。
 よろしければ参考にしてください。

 
DIY建築士の日々
 http://diy-resort.seesaa.net/









 ホウ酸塩を用いたカビ除去についてネット上では、実例や経過報告が非常に少ない現状です。
 全種類のカビに抗菌作用があるのか、どれぐらい塗れば効果的なのか、というところが私はまだわかりません。

 ただ、湿気が多い環境の住宅でもカビさえ生やさなければ、最低でもカビ臭から解放されます。

 カビによる家具や建具の破損・汚損が防げるならば試してみる価値は十分にあると思われます。
 しかも、人体に影響がほぼ無く、化学薬品のような異臭もせず、取り扱いが簡単で安価である。
 使い方を間違えなければ、素晴らしい素材と思えます。


 しかし、メリットばかりではありません。
 デメリットもあります。

 ・ホウ酸塩には即効性はありません。
 生き物がホウ酸塩を体内に吸収してからじわじわと効いていくので、カビや菌、害虫達が全滅するまで少しばかり時間がかかるようです。


 ・素材の表面に塗っただけでは無意味です。
 ホウ酸はシロアリにも効くとありますが、表面層のホウ酸をかじり取られてしまえば、無防備なままの中身が出てきます。
 シロアリは膨大な数の働きアリがいます。
 ホウ酸を食べた最初の働きアリが死んでも次から次へ後発隊がやってきます。
 表面のホウ酸が無くなってしまえばその部分から侵入されて全く無意味なことになります。

 カビもまた同じで、高い湿気や結露などによって表面層に塗ったホウ酸が流れ落ちてしまえば、無防備な中身がむき出しになります。
 ホウ酸塩単体でカビやシロアリをガードするためには、木材内部に浸透させておく作業が必要であり、既存の建築物での薬剤の浸透など手間と時間がかかりすぎてほぼ不可能なので、除湿、防腐塗装など複数の手法を絡めて考える必要があります。

 また、簡単に塗ることが出来ないような壁の裏側や床の裏側という場所への添付方法も工夫を凝らさないといけないです。
 

 ・体毛を舐めるようなペットには要注意。
 体毛を舐めて毛繕いするようなネコなどは体表に付着したホウ酸も舐めてしまいます。
 ホウ酸に弱い観葉植物(ゴールドクレストなど、1年草全般で有害)には有害です。
 
 赤ちゃんの誤飲による死亡例もあります。


 ホウ酸塩は天然の鉱物ですが生命に対して毒になりますので、河川などに大量に流れ込むと重大な環境汚染の原因になります。
 トイレの浄化槽などに流れ込むと浄化槽内部の微生物が死滅してしまいます。
 製薬会社など大量に用いる企業などには使用に制限が入っています。(水質汚濁防止法など)

 そこのところを踏まえてお使いください。



 




 追記:(2016年4月)

 ホウ酸塩は塩分でした。
 塩分は金属、特に鉄にとっては錆を誘発しやすくなる天敵!
 このことを忘れていました。

 わっ!しまった!! えらい物を皆さんに勧めてしまった。どうしよう!∑(´□`;)


 と、思っていろいろと調べていたら、ホウ酸塩には防錆性能も持っていることがわかりました

 ホウ酸の特徴
 http://www.meisho.co.jp/bor/02.html

 ホウ酸塩は水に溶けると弱アルカリ性の性質を有します。
 金属の腐食である酸化を押さえる働きがあります。
 なぜなのか詳しいことはわかんない。☆(ゝω・)vキャピ
 この性質を利用してホウ酸塩水溶液は冷却剤やサビ止め塗料などにも用いられています。
 *但し、ホウ酸塩鉱物から硫酸を用いて抽出された「ホウ酸」は弱酸性です。




 お使いになられてみて、効果があった無かったなど教えていただければありがたいです。

[広告]

Amazon

ホウ酸
 (害虫駆除に最適)
500g
Amazon

ホウ酸 結晶
粉末 2kg
Amazon

ホウ酸結晶P
500g

 ホウ砂は天然のホウ酸鉱石を精製した物、つまりホウ酸塩そのものです。
 ホウ酸鉱石から抽出された「ホウ酸」も販売されていますが、水に溶けにくい(お湯でないと溶けない)ことから、ホウ酸塩、又はホウ砂という低温の水に溶けやすい性質の製品を紹介しています。



*文中に紹介している各社の製品はカタログより抜き出した物です。
 全てを使用したわけではありませんので性能や特徴を質問されてもお答えできません。




★目次ページに戻る

▲このページのトップへ



トップページに戻る