カビ取り実験(壁紙編)
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私が管理する物件の住人さんから、
『壁紙にカビが生えてきたので取って貰えませんか。』
という依頼があったので、実際にカビ除去には何の薬剤が効くのだろうか?と考え、事前に数種類の薬剤を用意して実験を行いました。
実験を行う部屋は空き部屋。
特にひどいカビが生えている箇所を選んでやってみることにしました。
この部屋はここに家具が置いてありました。
約10年ほど住まわれていたのですが、引っ越しをして家具を除けるとご覧の通り。
びっしりとカビが生えてしまって壁紙もめくれています。
結露が原因で自然発生的な事由なので損害賠償の対象とは言い切れない汚損です。
どちらにせよ色焼けした壁紙ですので、張り替えは必須。
原状回復の内装を待つ部屋です。
下の写真の部分、特にひどい箇所と、もう一面この左手にある壁を実験対象とします。
これから記述するカビ除去方法は、職人さんも同じ方法で行っていますので参考にしてください。
用意しましたのは3種類の洗剤。
定番の「カビキラー」(中央)、カビ落とし剤としてネットで売られている専用薬剤(左端)、そして、洗剤類の中では1,2を争うほどアルカリ性の強い「水の激落ちくん」(右端)。
カビキラーが近所の薬局で\375円。
専用薬剤がネットで\1,480円。
水の激落ちくんがホームセンターで\298円だったと記憶しています。
値段からすると専用薬剤が抜群の効果が期待できそうです。~(*゚∀゚)
撒布する面はこうなります。
まず最初に、壁紙の清掃する部分を水で濡らします。
水道水が入ったスプレーボトル。
水で濡らす理由は、乾いた状態のカビ菌に水分を含ませることで柔らかくし細胞を開かせ、洗浄剤を浸透させやすくするためです。
まんべんなくたっぷりと水を拭きかけます。
水が垂れてきますので、床面にはタオルや雑巾を置いて床にあふれないよう配慮してください。
このままで、カビ菌が柔らかくなるまで3~5分ほど置きます。
*ご注意:
今回のこの作業では、下地の壁がコンクリートですのでたっぷりと水をかけることが出来ました。
下地の壁が薄いトタン板や石膏ボードなどの場合は、水をかけすぎると歪んだり凹んだり、果ては穴が開いたりする可能性があります。
下地の素材によって水をかける量を調節して慎重に作業を行ってください。
水分が浸透した頃を見計らって薬剤を吹きかけていきます。
まず最初にネットで買った一番高価な専用薬剤。
次にカビキラー。
この時、専用薬剤がかかった場所とはかぶらないように吹きかけています。
中央部分は薬品がかかっていませんので、カビは取りきれませんのでご了承を。
カビキラーは泡タイプを買ってしまったのでこんな風になっちゃいます。
内装前の部屋ですので、壁紙下端には養生を施していません。
いずれの洗剤も漂白作用がありますから、床に垂れると木部や畳などは変色してしまいます。
必ず壁紙の最下部にビニールを敷いたり、タオルや雑巾などを置いて、薬品が付着しないよう養生してください。
最後にもう片方の壁に水の激落ちくんをたっぷり吹きかけます。
このまま30分放置!
30分ほど現場を離れてこの部屋に戻ってきました。
カビキラーを吹き付けましたので部屋中に塩素の匂いが充満。(;´Д`)ノ
息を止めながら慌てて窓を全開放します。
喉が弱いので、このガスを吸い込むと一発でやられてしまいます。
これがあるからやるのが嫌なんですよね~。
さて、くだんの壁紙を見ると・・・・
明らかにカビの黒ずみが減っています。
黒い点々は胞子ですが激減しています。
一方、水の激落ちくんの方は、
あまり変わんね~。( ̄▽ ̄;)
気持ち白くなったかなと言う程度。
最後にもう一度水を吹きかけて雑巾で拭き取って、カビと薬品を取ります。
壁紙を拭く際は強くこすると破れてしまいますので、優しく力を加減しながら拭き取ってください。
茶色いシミは取り切れませんでしたが最初に比べてきれいになりました。
こちらの水の激落ちくんの方も、拭き取ると最初に比べて遙かにきれいになりました。
総括
比較写真を並べましたのでご覧ください。
市販のカビ取り剤&カビキラー使用の壁紙
施工前
撒布、30分放置後
拭き取り後
いかがでしょうか?
やはりカビ取りとうたってある洗剤の方が効果があるのがわかります。
特にカビキラーを撒布した面は、漂白が進み白い色がある程度戻っています。
で、今回の実験ですが!
明らかにカビキラーが1番!!! (
;; ̄3 ̄) カビ取り専用と書いて高い製品を売っている業者さんには申し訳ないが、費用対効果で言うとカビキラーに軍配が上がる。(^^ゞ
と言う結果になりました。
*注意
カビキラーやハイターなどは本来、浴室、トイレ、キッチン、目地などに用いる用途として作られています。
基本的に水で洗い流せる場所で使用するために作られています。
壁紙の紙に使用するには薬剤成分がきつく、紙を傷めてボロボロにしてしまうと言うデメリットもありますので、よっぽどひどい状態でないならば壁紙に対しての使用は避けた方が賢明かと思われます。
使用する場合は、撒布、カビ除去後に必ず濡れ雑巾や水を含んだスポンジで水拭きしてください。
成分が完全に分解し終わるまではどうしても塩素臭が残ってしまいます。
また、壁紙の素材によっては、残留した成分で変色(撒布部分だけ色が抜け落ちてしまう)したりする場合があります。
プロの壁紙業者の多くは、カビキラーやハイターなどの市販の安価な漂白除菌剤を用いてカビ除去を行っています。
プロの方は多くの経験を踏まえて、薬剤の使用量や拭き加減を心得ており、失敗しても修復するノウハウを持っています。
市販のカビ取り剤は壁紙、カーテンなど組織の弱い箇所に使用するよう成分が調整してあります。
それを踏まえてケースバイケースで使用するようお勧めいたします。
皆様の参考になさってください。
壁紙の裏側の壁にまではびこってしまったカビ菌を取ることは困難です。
表面のカビを除去しても、再びカビが表面に出てきます。
そのため再発を防ぐには防カビ剤の併用も必要となります。
また、茶色いシミなどは壁紙が染まってしまっている箇所は、完全に漂白することは難しいです。
そんな場合は、壁紙に近い色の塗料を上から塗るか、最近流行の壁紙シールなどを貼って隠すしかないですね。
まあ、張り替えるのが手っ取り早いのですが・・・・。
一番は、結露などによる湿気を防ぐことです。