壁紙ペンキを塗ろう その1
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壁紙の上からペンキは塗らないほうが良いもの。
今から数年前まではこの考えが主流でした。
現在の殆どの壁紙は「ビニール壁紙」で、表面が塩化ビニールで覆われています。
ビニール壁紙の上から従来のペンキを塗ることは可能ですが、水分を含んだり、ペンキが乾燥する際の塗料の縮みの影響で、膨れ上がったりしわになったり、剥がれ落ちたりしました。
またタバコなどのヤニ汚れがあると、白色などの場合はヤニ汚れが浮き上がってきてしまい、シーラーなどの下地処理を施してから塗らないときれいな仕上がりにはなりにくいのです。
そして油性ペンキならば揮発剤の匂いが取れるまで結構な時間を要します。
デメリットが多くて使用に耐えないものでした。
と、ここまでは内装業者さんの受け売り。
壁紙職人さんもペンキ屋さんも同じことを言います。
これは間違いではなく正しくて、壁紙の上にペンキを塗ることの手間とデメリットの大きさで誰もお勧めはしませんでした。
かく言う私も・・・・。
今から数年前に
『壁紙の上から塗れる水性塗料』が開発・販売されました。
この商品が出てからは今までの既成概念は全て吹っ飛んだと思います。
今回はこの塗料の実際の使用レポートです。
最初は私もこの壁紙の上から塗る塗料は半信半疑でした。
最初は、狭い箇所から実験としてリフォーム現場で使用し始めました。
1.傷、汚れ隠し
上の写真を見ておわかりになりますでしょうか?
壁の中央にうっすらと一筋のすり傷が入っています。
ソファか何か柔らかい材質の家具を搬入する時に、強く壁をこすってしまったのだと思われます。
壁紙自体は破れていなくて、表面の化粧面だけがこすれて傷付いています。
たった一筋のこの傷のためにこの壁全体の壁紙を張り替えるのか。
この傷以外は殆ど無傷できれいな状態。
シミやヤケなどの劣化も見当たりません。
この壁紙、現在は生産されていなくて同じ物は市中にはありません。
この壁紙を替えてしまったことで、この部屋の模様が大きく変わってしまうことが考えられました。
どうにかして、簡単な補修だけで使用出来ないかを考えました。

ここで考えついたのが塗装。
ちょうど壁紙に塗ることが出来るペンキが発売されだした頃でした。
この壁紙の色に近い色としてパステルピンクをチョイス。
塗装する場所にマスキングテープを貼って養生します。
次に使用する方が再び壁紙をこする可能性があったので、この場所にハンガーを取り付ける(取り外し可)ことにしてネジを付けてから塗装します。
塗料は何の問題もなくスルスルと塗れます。
目立っていた傷は一度塗りだけで完全に覆い隠されてしまいました。
次の方が入居されるまで約2ヶ月ほどありましたが、塗膜がめくれたり浮いたりすることもなく、また壁紙にシワが寄ったり膨れたりすることもありませんでした。
2.扉部分のワンポイント塗装
サニタリー入り口の扉。
写真ではわかりにくいのですが、ドアノブ周辺が手垢で汚れて黒ずんでいます。
壁紙には傷や破れが無いので張り替えるのがもったいない。
これも壁紙ペンキで塗装することにします。
まずは枠縁やドアノブをマスキングします。
今回使用したのがパステルブルー。
ちょっと派手かな?とは思いましたがお部屋のワンポイントにするのに最適かと思いました。
ずんずん塗っていきます。
やはりちょっと派手かな?(;^_^A
全面を塗ったところ。
一度塗りしただけです。
まだ乾燥していないのでまだらになっています。
この時点で失敗したんじゃないかな~と思っていましたが。
乾くとまだら模様は無くなって非常に綺麗に仕上がりました。
この時点で、この塗料の特徴が飲み込めてきました。
・塗料に粘りがあり、壁紙にしっかりと乗りやすい粘度です。
・一般的な水性塗料より乾燥時間がわずかに早い。
・垂れてしずくが玉になるようなことがほぼ無くて、乾くと下地の壁紙の質感を損なうことがない。
この速乾性が壁紙に水分を含ませず、シワやたるみ、ハガレを起こさせないのが特徴の塗料だとわかってきました。
次回はいよいよまるごと一室の壁紙を塗装することにします。
その2へと続きます。