前回のあらすじ
愛猫のさんかくがある日突然下痢、嘔吐、食欲不振に見舞われました。
病院の見立てでは最初は熱中症ではないかという診断結果。
症状に応じた薬剤投与で一時は治癒したかと思ったのですが・・・・。
5月の月末。
仕事の最中に家族からLINEが入った。

朝ごはんであげたカリカリを食べたらそのまま吐いたらしい。
その後、チュールを舐めさせてみたらそれも吐いてしまったとか。
再発、どころか悪化!
帰宅してみるとさんかくは部屋の角の机の後ろの隙間に入ってじっとしています。
人懐っこくて、いつもは必ず誰かのそばにいたがるさんかくが、この時は誰も寄せ付けず狭く暗い場所に隠れよう隠れようとします。
猫は調子が悪くなると人の見えないところに行き、そのまま死を迎えるというそのまんまの状態。
トイレをチェックするとうんちはほぼ水便。
おしっこは固まるネコ砂を使用していますが、ほんのり黄色く染まって黄疸が出ていると思わしき状態。
このままじゃさんちゃんが死んじゃう!(>ω<)
心は焦るけど今日は病院は定休日。
とにかく部屋の隅では様子がわからないので、深目の段ボール箱の中に入れて静かにしてあげます。
念のためペットの救急夜間診療所の場所を確認しておいて、再び病院に予約を入れます。
翌日、仕事を早々に切り上げて連れていきました。
今日は院長先生が他の患者を診ていていつもの担当医師。
もう一度検査してみましょう。
血液検査と全身のレントゲンも行うことにします。
検査結果。
今回は検査項目を増やして様々な検査をしています。
前回の数値に比べてあらゆるところで赤字の数値が増えています。
特に黄疸が出ているのはヤバイです。
肝臓、腎臓、膵臓、全てにおいて危険信号。
もちろん体熱も高い。
レントゲン写真を見せてもらうと、体内の各臓器がぼやーっと写し出されていました。
先生曰く、ぼやーっと写っているのは腹部に腹水が溜まっているため解像度が落ちているとのこと。
何かが原因で急激に体が悪くなって腹水が溜まり始めているらしいです。
ここで、先生から提案がありました。
腹水を採取して検査機関で精密検査をしてみますか?
腹水の検査からわかることは、
・ウィルス病原菌による症状かどうか。*注
・腫瘍(ガン)が原因の症状かどうか。 がわかるとのこと。
命に関わることですので、両方の検査をしてもらうことにしました。
いずれかの結果が陽性と出た場合。
さんちゃんの命は・・・。
最終的に安楽死を選択しなければいけないかもしれない。
さんちゃん、まだ早いよ!(>ω<)

さんかくを先生に預けて待つこと30分。
さんかくはお腹と腕の毛を刈られて、疲れた状態で出てきました。
とりあえず今日は、解熱剤、抗菌消炎剤、下痢止め、嘔吐止め、栄養剤などをぶち込んだ点滴をされて帰宅。
また明日から通うことになりました。
*注:猫の病原性ウィルスは、猫エイズ、猫コロナ(猫伝染性腹膜炎)などがありますが、いずれもワクチンも治療法も無く、発症すると死亡率が高く時間の問題。
翌日、今日は院長先生。
先生は昨日の血液検査のデータを見ながらしばし考え込む・・・。
『この子、急性膵臓炎ですね。』
先生が動物の医学書を取り出してきて膵炎のページを開きながら説明してくださった。
動物の膵臓炎は人間もほぼ同じ。
膵炎は、
・突然発症し、原因はまだ謎。
・年齢、性別、品種に関係なく起こる。
・犬とは異なり、猫は年齢は関係なく、痩せた猫のほうが多い(犬は肥満が多い。ちなみにさんかくは肥満)。
・多く見られる症状は、食欲低下、下痢、嘔吐、発熱、黄疸、激しい腹痛。
熱中症や他の病気の症状によく似ていて、検査で異常が出にくく誤診しがちな病気らしいです。
先生の説明によると、膵臓は、肉などを溶かす胃酸を中和し、タンパク質などを分解する
消化酵素(膵液)を出しています。
(*膵臓はインスリンも分泌しますがインスリンの分泌が異常になると糖尿病になります。)
何かの原因(謎)で膵臓の機能が暴走し始めると、悪影響を及ぼす様々な物質が多量に出され、自分自身の膵臓を痛め、更に他の臓器まで痛めつけてしまうとか。
胃腸の激痛に加えて、肝臓や腎臓、心臓まで障害が及んでしまう。
腹水が溜まるのは体内に散らばった消化酵素を薄めるために体が反応した結果だとか。
水分や食事を接種すると、膵臓は「
あ、食べ物が来た!」と消化酵素を放出するのだが、機能不全で分泌量の抑制が効かなくて大量に分泌されている状態。
物を食べる度に、激しい腹痛になっていて、発熱に嘔吐や下痢はそのせい。
前回の検査では、嘔吐や下痢で胃腸の中が空っぽに近かったせいで検査の数値に表れなかったのだろう。
とのことです。
膵臓と言えば「
暗黒の臓器」と呼ばれ病気を発見しにくく治療が困難。
近年では膵臓炎にかかって激ヤセした芸人さんがおられましたね。
人間でも治癒が困難だと聞いています。
治療には絶食とステロイド薬を使うとか。
ほぼ癌治療に近いと聞いているが・・・・
すぐに脳裏をよぎった疑問。
膵臓炎って治るんですかい!?
院長先生はニヤッと笑って話を続けます。
特効薬が出来たんですよ。(゚∀゚)
次話に続く