愛する大事な家族

特効薬とは

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前回のあらすじ
 愛猫のさんかくがある日突然下痢、嘔吐、食欲不振に見舞われました。
 熱中症ではないかという診断で治療したが、ちっとも良くならず。
 更に症状が悪化したので再検査となり、急性膵臓炎と診断が下ったのだが・・・。


 注:今回の記事に出てくる薬の使用は製薬会社の指標に基づくものではありません。
   従いまして製薬会社には何の責任もありません。
   薬の使用については、ペットの飼い主である私の意思、承認同意のもとに使用を行っています。
   登場する獣医師は私の決定に従って薬剤を投与しただけで何の責任もありません。
   お読みになられた読者が同様の行為を行い、何らかの損害が生じたり、何らかの被害を被っても、私は一切関知しません。
   また、一切の要求にも応じませんのでご了承下さい。






 院長先生はニヤッと笑って話を続けます。

 膵臓炎の特効薬が出来たんですよ。(゚∀゚)

 「ペット向けの抗膵炎剤が2021年4月から発売されました。 これがペットの膵臓炎に抜群の効き目があります。」
 
 その薬の名前は  『ブレンダ』。


 院長先生は話を続けます。

 今まで膵炎を発症した子に使用してきましたが高確率で効き目があります。
 先日も、膵炎を患った子に使用しましたがピタリと治まりました。
 薬の効果を例えると、火山が突然爆発してそこら中に溶岩をバラ撒いている状態です。
 その噴火口を上から大きな石で塞いでしまうような感じで抑制します。

 へえ~、そんなすごい薬があるんだ。と私はフンフンと聞いていました。


 但し、この薬は犬用です。(^○^) 




 はあ?( ̄▽ ̄;)





 犬用がネコに効くんですか? という質問に対して院長先生はパンフレットを出してきて見せながら説明します。

 この薬が発売された時に、私が属する獣医師のネットワークで様々な情報交換があったんですよ。
 その中で、『犬に効くんだから、ネコにも効くんじゃね?』と各獣医が試し始めました。
 そのうち、薬の量が犬の2倍なら効くぞ! 猫の膵臓は犬より鈍感なようで2倍量がちょうどいい。
 ということを発見された医師がいて、その情報が共有されました。
 で、みんな使い始めたんです。


 私はすぐにメリットとデメリットはありますか?と質問しました。

 院長先生曰く、
 メリットのほうがはるかにに多いです。
 入院は必要ないし、通院だけ、点滴だけで済みます。
 ペットへの負担が少なくて済みます。

 投与期間は5日間連続で投与します。
 5日目にはだいたい9割ぐらいの確率で嘘のように病気の症状が出なくなっています。

 副作用は特に見られません。



 ただ、ワンちゃんもネコちゃんも全く効かない子が1割ぐらいいます。
 病気の原因が別のところにあるか、個体差でしょうね。
 犬用の薬として開発販売されていますから、猫に投与した場合の保証は全く得られません。
 猫への使用はあくまで飼い主の責任でお願いしたい。


 デメリットと言えば・・・・

 『この薬、ちょっと高い!(^◇^;)』


 人間の未承認の抗がん剤みたいにとてつもなくお金がかかるのか!?
 一瞬めちゃくちゃ不安になった。

 い、いくら?・・・と聞いたら。

 「いつもの点滴の費用に◯千円加わります。」とかえってきた。

 注:このお医者さんは他の病院に比べて治療費がリーズナブルです。
   提示された金額も暴利を貪るようなものではありませんでした。






 さんかくの治療に費やしたお金は、今までの通院費と、昨日の精密検査代で軽く10万円を越してしまっています。
 私はすかさず頭の中で計算します。
 点滴と薬代で△万◯千円だろ、それが5日間で□万☓千円。
 えーと・・・、生命保険が満期になって来月振り込まれるお金があるからそれをアテにするか・・・。

 
 費用的には何とかなりそうです。
 但し、先生の言う通りに薬が効いて、治療が終わったらとしてですが・・・。

  



 先生に思い浮かんだ疑問をぶつけてみた。

 ①病気の原因が膵炎ではなかった場合、この薬を投与して副作用など、何か障害が出るのではないか?
 ②薬の投与が終わって効くことは効くが効果が薄いとわかった時どうなるのか?


 一番目の質問は、熱中症という見立て違いで10日以上振り回されたのだから、こちらも慎重になっています。
 二番目は、犬用の薬を使うのでネコにどれぐらい効果があるのか少し疑問があったから。





 院長先生のお答えは、その質問は尤もだとして、

 ①膵炎ではなかったとわかった時は再検査してその病気に対する治療に変更します。
  異なる病気が原因だとしても、この薬は今の病状(下痢、嘔吐、発熱、黄疸)を改善する効果があるので、病気に対するネコちゃんの体力維持としても有効である。
 ②5回の投与を終えて効果が薄いとわかったら、観察期間のため少し間を置いてから、6回目、7回目と継続し、効果が表れるのを見ます。
  どうしても個体差があるのでやってみないとわかりません。


 膵炎は完全に治る「治癒」は困難です。
 症状を抑えて異常がなくなる状態の『寛解』を目的とします。


 というお答えでした。

 後日、薬の投与に通っていた時の会話に出てきたのですが、あくまでも寛解なので、薬の効果が切れたら何度でも再発することがあるとのこと。
 とあるワンちゃんは、5日間の投与が終わって症状が改善されてもまた30日後に膵炎の症状が出て、毎月来ているワンちゃんもいるとのこと。
 本当に個体差でどうなるかはわからないらしいです。
 病気の原因が謎ですから仕方ないのかもしれません。

 ここまで話をしてきて質疑応答に答えてもらってようやく理解が進みました。





 院長先生:
 「ご理解が進んだようです。 最初に言ったようにこの薬は猫用のものではありません。」
 「薬を投与するかどうかは飼い主の貴方の判断次第です。どうしますか?」


 「どうする?」(゚∀゚)アヒャ♪





 どうするって・・・・


 するに決まってるじゃないっすかっ!(>ω<) 



 次話に続く



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