思うようにはいかない(泣)
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 今年の春先と秋の長雨。
 本当に参りました。
 こんなにも建物の老朽を早めてしまうのかと愕然とするばかり。(;´Д`)
 ここ数年の間に一気に劣化が進みました。

 2011年10月撮影
   
↓

 2015年9月撮影

 2013年11月撮影
   
↓

 2015年9月撮影
 
自然は容赦ない。(;´Д`)ノ 
 これ、山の家だからっていう環境はあまり関係がないですよ。
 都会郊外の自宅も同じスレート葺き。
 多少材質が異なるとは思いますが、30年以上経過したスレート葺き屋根はこういう運命を辿るという良い見本。
 
都会の方がもっと過酷かもしれない。
 貴方の家は大丈夫?(;・∀・)
			
 これだけ環境が悪いと1週間か2週間に1度の作業では、腐敗していくスピードにとうてい追いつかない。
 
とにかく腐敗の進行を食い止めること!
 これが早急の課題です。
 木材の腐朽を止めるためには、木材保護塗料で水気を絶つか薬剤を塗って栄養を与えないこと。
 塗るのは至極簡単。
 皆様ご存知のように、塗料でもホウ酸でも溶液を刷毛で塗っていけばいいんです。
 防腐材を塗ることで木材の
表面は固くガードされます。
 
表面はね!
 これだけしっかり塗料を塗っていて、水が浸透すると思うかね。(;´д`)
 これだけしっかり塗料を塗っていて、水が浸透すると思うかね。(;´д`)
 昨今のウッドデッキ専門店とか材料屋さんは、木材の全面に保護材を塗った製品を販売してくれたり、専門の工務店もそういう材料を使用します。
 普通の住宅建築屋さんや大工さんがベランダなどを組む時、施主の側から指示しないとそういう材料も加工もほぼ行ってくれません。
 そりゃそうです。
 コストも跳ね上がるし、塗装も面倒だし。
 素のままの木材で組み立てて、外側はペンキ屋さんに保護塗料を塗らせてそれで終わり。
 何も言わなければ、木材の裏側とか接合部の中とかまで神経を使ってくれるはずがありません。
 塗料を塗った木の切断面。
 塗料を塗った木の切断面。
 木材保護塗料を塗った木材を切断したことがある方ならおわかりと思いますが、木材保護剤を表面に塗った時、薬剤が木材内部に浸透できる深さは、木質にもよりますがせいぜい数ミリ程度。
 油性の場合の数値であって水性保護塗料ならば、表面に塗膜を作るだけで浸透する深さはコンマ何ミリという範囲でしかありません。
 導管のある木口に塗っても1㎝ほど、深くて3㎝ぐらいと言います。
 
染みこんで行く間に乾いてしまいます。
 塗料の浸透は1㎜にも満たない。
 塗料の浸透は1㎜にも満たない。
 私、毎年必ず塗料を2度塗りしてきたんですよね~。
 ところが、やはり素人のあさはかさ。
 防水は完璧だと思っていたら、ピンホールとかクラックとかで内部に水が入ってしまいました。
 そういう水の侵入経路までに気が配れていなかったのです。
 釘の部分の切断面。 こう言うところから水が侵入する。
 釘の部分の切断面。 こう言うところから水が侵入する。
 塗料の塗っていない裏側から水分が浸透して腐敗菌がはびこり、
 
外はカチカチ、中はスカスカ!
 という状態になっていました。(ノД`)・゚・
 柱の木口から水が侵入して内部で腐食。
 表層の木の皮を1枚めくった層は腐食していないことに注目!
 柱の木口から水が侵入して内部で腐食。
 表層の木の皮を1枚めくった層は腐食していないことに注目!
 木材の内部まで防腐材や塗料の薬剤が内部まで浸透するならこんなことにはならなかったはずです。
 防腐剤を内部まで浸透させるには、どぶ漬け(保護剤につけ込む)か機械による加圧注入という方法を用います。
 SPF材なんかがそうです。
 既に組まれたデッキとか、加工されていない木材を購入した場合はもうこんな加工出来ないですよね。
 
木材の内部に薬剤を浸透させるにはどうしたらいいか?
 *ここから先の記述は真似をするかしないかは読者の方次第です。責任は負いません。
 穴を開けて中に注入すればいいんだ!! (゚∀゚)アヒャ♪
 細かい穴を無数に開けて木材保護塗料を塗っても、すぐに乾いちゃって塗った部分だけしか効果はない。
 ホウ酸塩が拡散浸透型ですので、こちらをチョイスするのがベストです。
 しかし、ホウ酸塩の固体を利用する市販の製品
(ボレートロッド等)は最低6ミリと太い。
 木材の強度が損なわれるのでそんなに太い穴をあちこち開けられない。
 木材に浸透してきた水分で溶け出して広がっていくらしいが時間がかかる。(含水量28%で拡散開始)
 で、考えついたのが、細い穴を複数開けてホウ酸塩の濃度の濃い水溶液をシリンジ
(注射ポンプ)で注入してやる、ということ。
 ホウ酸塩水溶液は木の中で乾くと結晶化しますが、水分に触れるとまた分解して浸透していくからです。
 注入が終わったら穴はパテや木片で塞ぎます。
 内部の水分量が飽和状態になると乾く時に割れたりするので、穴の深さとか、どれぐらいの量を注入するかが問題ですね。
 
どうせ中身は腐っとるし!!(゚Д゚)!!
 やってみるか、と思い立ってこういう物を買ってきました。
 シリンジ
 シリンジ (注射ポンプ)
 こんな物どこで売ってるんだよ!(`△´+)
 と思って探し歩いていたら、百均ショップのお化粧品コーナーにぶら下がっていました。
 アロマオイルとか調合するのに使用するらしいですね。
 
ホームセンターのペンキコーナーに行くと、これの大きな物が1本198円~399円と各サイズ売っています。
			
 本日、朝の気温18度。
 
 いい季節になってきました。(*゚∀゚)
 暑くて参ってしまうこともない気温ですので体力的に楽です。
 室内の掃除を済ませた後に着替えをし、早速実験にとりかかります。
 
さあ、人柱モードの始まりです。
 *人柱モード
 誰もやったことがない、ネット上に記録がないなどの事柄を、時間も費用も浪費することを顧みず、自ら実体験で試すお馬鹿な行為を言います。
 母家の柱(腐食していないがクラックがある)に薬剤が浸透するかどうか。
 
じっけん!じっけん!じっけん!じっけん!・・・・
 
 2.5㎜、深さ3㎝ほどのあなを複数開けて、濃度20%強のホウ酸塩溶液をシリンジで注入します。
 すぐに一杯になってあふれてきます。
 浸透してくれるだろうと思ってしばらく間を置いてから再度注入。
 
ぜんぜん浸透していません。(;´Д`)ノ 
 これは『表面張力』というやつが働いているからだな。と思って水溶液に食器洗剤を混ぜて再度やってみます。
 乾燥している木は簡単には浸透してくれません。
 じわっと入って行っているようですが、非常に時間がかかる。
 かかりすぎ。
 
あかんわ、こりゃ。( ̄▽ ̄;)
 「これは注入するための穴が細いからだ!
 大量に入ればそれなりに浸透していくだろう。」
 と、思って別の柱に4㎜径の穴を開けて注入してみます。
 幾らでも液が入って行くな~と思っていたら、柱の下部から薬液が滲んできてどんどん流れ出てきます。 (;´Д`)ノ 
 内部の腐食層の空間を伝って木口から流出してきました。
 つまり底無し。
 1番柱基部のデッキ板が湿ってきたなと思ってドリルの刃で突いたら・・・・
 水の飽和量が限界に達して、ボロボロに腐っていたデッキ板がふやけてしまいました。
 水の飽和量が限界に達して、ボロボロに腐っていたデッキ板がふやけてしまいました。  ( ^▽^)あはっ
 ここは腐っていたのはわかっていたので想定の範囲内。
 この場所の腐敗菌は撲滅できるでしょ、とプラス思考で後ほど処理します。
			
 せっかく作った防腐剤は捨てるのがもったいないので、デッキ板と根太の隙間やクラック部にシリンジで添付することにしました。
 デッキ板と根太は密着していますが、隙間があるので毛細管現象で吸い込まれていきます。
 その隙間は無塗装ですのでそこから表面だけでも浸透しますし、腐敗菌がはびこっていたら退治することが出来ます。
 ずーっとデッキのぐるりを注入してきて、斜めになっている根太部分に木材腐朽菌の
ツノマタタケが生えていました。
 
 この菌は水分が少ないとこういう状態、雨などで水分が多くなると鮮やかなオレンジ色で太くなります。
 この菌は水分が少ないとこういう状態、雨などで水分が多くなると鮮やかなオレンジ色で太くなります。
 いい実験体です。
 ホウ酸塩がどれだけ効くか試させてもらいます。
 ホウ酸塩添付3時間後。
 ボロボロになってきて、帰る時には殆ど見えなくなっていました。
 
 こういうキノコ類が生えると言うことは、この部分も末期症状。
 根太はあまり問題ありませんが、デッキ板は近いうちに交換が必要です。(;´Д`)ノ 
 と言うことで、
 
ホウ酸塩水溶液浸透実験は見事失敗に終わってしまいました。(;´д`)トホホ 
 腐朽菌の進行を食い止めるんじゃないのかよ~。
 貴重な時間が~!(;´Д`)ノ 
			
木材用防腐剤
 ここで、ここ数週間で一生懸命学んだ事柄を少しばかり記述しておきます。
 
私の備忘録です。
 木材腐朽菌はカビやキノコの類です。
 カビですから胞子が空中を漂ってやって来ます。
 カビが繁殖する条件は、空気、温度、水分、栄養の4要素が揃った時です。
 室内の場合、4要素のうち水分(湿気)を除去することでカビの繁殖を防ぎます。
 ウッドデッキやベランダなど屋外にある木材を使用した構築物は、水分を除去するのはかなり難しいです。
 そこで、薬剤を使用してカビ菌を死滅させるか、栄養素を与えないようにするわけです。
 
「そこまで知っていてなぜオマエのベランダは腐ったんだよ!」
 と、言われそうですが、それは言いっこなしでお願いします。f(^ー^;
 木材の防腐剤にはクレオソートに代表される化学薬剤の塗料と、ホウ酸塩に代表される自然鉱物系、カキ渋などの植物系があります。
 
塗料
 クレオソートやCCA
(クロム化ヒ酸銅(chromated copper arsenate)の頭文字が由来の木材保存剤)などは、ホルマリン、ヒ素、クロムなどの発がん性有害物質が含まれることから、現在では使用禁止にされるケースが増えてきました。
 それに代わる製品として薬品や塗料メーカーが様々な製品を出しています。
 クレオトップ
 
http://www.ysds.co.jp/html/products02.html
 クレオソートの発がん物質を最低限にまで抑えた製品。 CCAが含まれていないわけではない。
 1Lで1000円前後。
 ケミソートP
 
http://www.kanpe.co.jp/products/145/
 2Lで3000円強
 キシラデコール
 
http://www.xyladecor.jp/
 ご存知、木材保護塗料知名度No.1の製品。
 ちょと高価。
 他、防腐剤入り木材保護塗料などなど。
 
問題点:
 木材保護塗料は注入しても乾いたら終わり。(固着型と呼ばれます)
 塗った面は防水防腐に優れているが木材内部深くへは殆ど浸透しない。
 
ホウ酸塩
 ゴキブリ駆除のホウ酸団子で有名なホウ酸は、殺菌剤、殺虫剤、医薬品(眼科領域)、難燃剤、として私たちの生活の中で普通に使用されています。
 ホウ酸塩はホウ酸と塩の化合物で、土中など自然界にどこにでも普通に存在する物質です。
 ホウ酸塩
 
http://kominka.yanoss.jp/eco/01_dot/dot3_1hoensan.html
 人体に対しての毒性が低いため、シロアリ被害の住宅で使用される機会が増えてきました。
 
入れ歯洗浄剤にも使用されている
 500gで500ccペットボトル容器より少し多い量になる。
 500gで500ccペットボトル容器より少し多い量になる。
 ホウ酸塩の毒性について
 
http://homepage3.nifty.com/BORON-TECH/tec2-5.html
 『少量(茶さじ一杯)をのみこんだ程度なら、健康な大人には害はありません。
もっと多量にのみこんだ場合は、コップ2杯の水を飲ませ、医師の診断を受けてく
ださい。』文中より
 ホウ酸塩を使用した木材用防腐剤:
 ホウ酸塩の木材保護材は
拡散型と呼ばれます。
 
ホウ酸塩水溶液は木の中で乾くとホウ酸塩だけ結晶化しますが、水分に触れるとまた溶け出して水の流れに応じて内部へ浸透していきます。
 粉剤や水溶液は、国内では『白アリ通行止め』などの商品名でホウ酸塩含有薬剤が販売されています。
 450g、4000円前後。
 楽天やAmazonなどで入手可。
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 Amazonより楽天の方が値段も安く品数が多いです。
 ちなみに、ホウ酸塩500gほどの粉末があれば20%溶液で2リットルぐらい作れます。
 2リットルで10㎡以上塗ることが出来ます。(10㎝x2mのデッキ板50枚分)
 輸入物:
 ティンボアPCO(ホウ酸塩 防腐シロアリ駆除剤)
 http://kominka.yanoss.jp/eco/01_dot/home_dot.html
 ティンボア、ボレートロッド
 http://www.woodencanoe.net/epoxy/borate.html
 ヒロ・ウッデン・カヌー・ショップ
 ここは500g、1600円と安い。(100gから25kgまで小分けの販売有り)

 スティックタイプのホウ酸塩、「ボレートロッド」、6㎜x13㎜サイズ。
 無水ホウ酸塩の結晶。 木材内部の水分で溶け出して組織に浸透していきます。
 今年8月1日に国内でスティックタイプのホウ酸木材保存剤が発売されました。
 「ボレイトスティック」
 http://www.s-housing.jp/archives/75103
 https://www.value-press.com/pressrelease/145552
 工務店向けの販売のみ。
 350円/1本。 直径が9㎜と太い。
 問題点:
 防腐剤を塗っておけば腐朽菌に冒されにくいですが、屋外のウッドデッキなど雨がずっとかかる環境下では溶剤が流出してしまいます。(溶脱と言う)
 流れ出してしまわないようにもう一加工が必要。
 植物系
 日本に昔から伝わる自然素材を用いて作った木材防腐剤です。
 ヒバ油、竹酢液、木酢液、カキ渋などがあります。
 え~、正直言ってこれらは、臭い、手間、物によっては高い、圧倒的に耐久性が無い、のが特徴なので、よっぽどのアレルギー持ちの方とか、潔癖症の方でないとお勧めしないです。(;´Д`)ノ
 カキ渋の作り方
 http://www.ruralnet.or.jp/gn/201408/kakishibu.htm
 カキ渋の種類・塗り方・販売
 http://www.osugi.co.jp/kakisibu-hosoku.htm