ペルチェデバイスで熱中症対策(後編)
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前回の続き
前回の記事で書きました。
「熱中症の予防は、水分や塩分の多めの補給はもちろんのこと、
『首の両側、脇の下、足の付け根など、太い血管が通っている場所を冷やす』のが効果がある。」
現在販売されているペルチェ冷却服を見てみるとどうでしょう?
国内メーカーの販売するものはともかくとして、安価な中華製品。
ペルチェデバイスが配置されているのが、背中のど真ん中とか腰のあたりとか。
中にはお腹を冷やすの?という物まであります。
もうね、バカかとアホかと。
そりゃ熱中症対策にはなりませんわ。(個人的感想です)
国内メーカー品でも多くが腰回りにデバイスを配置して重点的に冷やすようになっているものが多いです。
首の付け根や両肩のあたりにデバイスが置かれているのはあります。
脇の付け根はそこに配置すると作業に支障が出るので少し背中にずらしてあります。
でもね、首筋の血管付近にデバイスを配置している製品があまり見受けられない。
探したらありました。
株式会社アイズフロンティアさんという会社の製品と、空調服で有名な
株式会社バートルさんがこの夏に出した新製品。
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それと、もう2社(後半に紹介します)の製品を見つけたのみ。(-。-;)
上の2つはオリジナルの規格で、専用のベストと専用のデバイス、専用のバッテリーを揃えないと使えません。
カタログデータでは専用バッテリーで動作時間が冷却を最弱にして長くても5時間ぐらい。(強なら3時間ぐらい)
そいでもって高価。(;´д`)ノ
市販のモバイルバッテリーのUSB-Aが使えるような製品が欲しい。
上記製品を魔改造するのはちょっとな・・・
無いなら作ってしまえ!
ということでDIYで自作してみることにしました。
まず最初に買い求めたのがペルチェデバイス。
こればっかりは自作するのはちょっと困難なので、モバイルバッテリーが使えるものを物色。
見つけたのがユニフォームメーカーの
株式会社ジーベックさんのペルチェデバイス。
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*楽天のほうが安い
デバイスは2個だけで良かったのですがそんな物無いので3個の物。
温度調整がリモコンで4段階の操作が出来るのが良い。
消費電力はカタログデータでは10000mAhモバイルバッテリー使用の場合
強モード 2.5時間、 中モード 4.5時間、 弱モード 6時間、 ゆらぎモード 4.5時間
の使用時間です。(カタログデータ)
これをベースに作ることにします。
お次が首に巻き付ける部分のネックベルト。
いただき物の保冷剤を使うネックバンドの寸法を参考にして型紙を起こします。
この型紙を使って布地を裁断・・・・。
どんな素材を使えばいいのかわかんない。(;´д`)ノ 会社の事務所にあったのが使い古して着られなくなってウエスにしようと思っていたTシャツ。
これを寸法に合わせて適当な大きさでカットして、仮にホッチキスで止めて作ったものがこれ。↓
これね、ダメですわ。
布地に伸縮性があって、ペルチェデバイスをはめ込むとビローンと伸びてすとんと落ちちゃう。(-。-;)
こんな生地はダメだな。
伸びのない生地で出来ればコットン。
大雑把に言えばワイシャツに使われているような生地。
お袋が趣味が手芸で余り物の生地を溜め込んでいました。
この中から手頃な布地を引っ張り出して使ってみることにします。
ミシンは無い!(×_×;)
ミシンが有っても使い方はわからない。
だからひたすら手縫い。
やっかいだったのはデバイスをはめ込む円形の切り抜き部分。
ほつれてくる糸をどうやって止めればいいのかわからない。
ふにゃふにゃだとまたデバイスが抜けてしまう。
窮余の策で木工ボンドで固めて糸で補強縫いすることにしました。
襟元で止めるのはマジックテープ。
丸一日かかって作ったのがこれ。↓
一応直線的に作ったけどフニャフニャでブサイク。(;´д`)ノ
何回か洗濯したらすぐにダメになるんじゃないかな?
早速デバイスを取り付けて首に巻いてテストしてみます。
・・・おお~~っ!(*。*)
首筋が冷たい。 しっかり冷える。
やっぱりプロ用に作られたデバイスは違うと実感。
但し、勘違いしないでいただきたい。
これは、
・体全体を冷やすアイテムではない。
・頸動脈・静脈をピンポイントで冷やすことに特化して、熱中症にかかりにくくするもの。
と理解してください。
単体で使うものではなく空調服や水冷服と併用することを前提としたアイテムです。
体全体を冷やすならば水冷服のほうが効果が高いです。
どこまで現場で通用するか使ってみなくちゃな。
別荘で炎天下の庭で着用してきました。
こちらのページで紹介してます。
田舎の草刈りで炎天下の中、長時間使ってきました。
この日の最高気温35度。
午後1時から5時までの一番暑い時間帯での作業。
このネックベルトと四ッ穴ファンの空調服を着用して臨みます。
草刈り機のハーネスは空調服の外側に着ると風の流れを阻害するので中に着込みます。
そのためにハーネスのショルダークッションは取り外しました。
デメリットはモバイルバッテリーを3個装着するため重量が増します。
結構な重たさです。
装着感
このデバイスの排熱口は横方向で排出され、同じ位置に電源ケーブルが伸びています。
排熱口をケーブルの向かう服の内側方向に向けると、熱が服の中に吹き込んでしまい首の周囲が熱く感じます。
そこで、排熱口を後方少し斜め上に向け、空調服から吹き出す風で逃すようにしました。
少しケーブルの取り回しが煩わしくなります。
このメーカーのペルチェ冷却ベストの説明を読むと、排熱口は下方に向けるように記述されています。
温かい熱は上に登る、冷たい空気は下に降りるはずなんですが・・・
温風を下に出したらまた上がってきて熱を逃すのがうまくいかないんじゃ?と思うのですが・・・
ベストを購入していないのでメーカーさんの意図がわかりかねます。
デバイスの強モードはけっこう強力で、強い冷えを感じたため低温やけどの懸念も有ったので終始
ゆらぎモードを使っていました。
ゆらぎモードは冷やす強度を20秒ごとに強→弱に自動的に切り替える仕組みです。
冷やしすぎは、血行が悪くなり、頭痛や肩こりの原因、集中力の低下を招きます。
「ゆらぎモード」は適度に冷やしてくれてちょうど良かった。
作業をする上で首周りの支障になることはありませんでした。
使用感 暑い中の作業を行っていて体温が上昇してくると頭がボーッとしてきて体の動きが鈍ります。
次第に全身に力が入らなくなり、疲労で立ち止まる時間が長くなってくる。
この状態になってから無理を重ねると熱中症一直線となる。
軽いものは毎年のようにかかっていたので前兆はわかります。
装着当初から首の両側は冷感を感じますが、次第に慣れてきます。
休んだ時など首筋がしっかりと冷たくなっているのはわかります。
バンド内側に指をいれると首筋がしっかりと冷たくて、常に冷やされていることが実感できました。
暑さで頭がボーッとしたり、体がだるくなるような、急な体温上昇での熱中症一歩手前状態になるようなこともありませんでした。
首の後ろは感覚が鈍感なようで、装着当初から冷たさとかあまり感じません。
首の後ろの付け根付近には体の体温調節の中枢があって、体温の急激な上昇を抑え、疲労の蓄積を遅らせ、冷やすことで体温を下げる効果があるらしいので、これも大きな効果があったようです。
勘違いしないでいただきたいのは、
・炎天下の高い気温の中ですのでペルチェデバイスを身に着けても体が冷えるわけではないです。
・暑いのは暑いので服の中は汗びっしょりになるのは変わらないです。
・空調服を使わずペルチェ単体の装着では、全く効果は見られないでしょう。
・空調服との併用で排熱をしっかりと対策することで 効果が得られるアイテムということです。
冷却アイテムを身に着けていても暑さによる疲労は徐々に蓄積されていきます。
蓄積のスピードを遅らせる効果は確実にあると言えます。
暑さによる疲労度が着けているのと着けていないのでは雲泥の差が感じられたと言って間違いないです。
ペルチェネックベルトと空調服の組み合わせは、
今のところ私にとって最強の猛暑対策グッズと言えました。(個人的感想です)
ここまでの動画:*動画の内容は記事とは少し異なります。
使い終わって概ね満足しましたが一つだけ気になることがありました。
それは
電気消費量。
カタログデータでは、10000mAhモバイルバッテリー使用で、強モード2.5時間、中モード4.5時間、弱モード 6時間、ゆらぎモード4.5時間と書いてあります。
実際の現場で30000mAhのバッテリーを使用したのですが、3時間半のゆらぎモード作動で残量が25%しか残りませんでした。
計算したら、30000mAhで4時間半ほどしか持たないことになる。
10000mAhならゆらぎモードで1時間ぐらいしか動かないだろう。
ただ、モバイルバッテリーが内容量詐欺が横行しているC国製品なので、本当に30000mAhあるのかどうか。
これはもう一度きちんと消費電力を検証しないといけないな。ということになりました。
検証したら追記します。
言えることは、
やはり電気バカ食いシステムだということ。
長時間使用する場合はバッテリーにも気をつけないといけないようです。
ペルチェデバイスを使って首筋を冷やす位置に配置した製品がもう2社あると先に書きました。
ペルチェデバイスのネックバンドを作ることを思いついた時に、これらの製品があるのを知りませんでした。(ホントだよ、信じて (´;ω;`)
)
この記事を作るために色々と調べていて見つけた製品です。
一つがこれ。
スポーツウェアのミズノさんから販売されている『アイスタッチデバイス ネック ペルチェ F2JYC111』という製品。
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*2025年7月現在売り切れ。 ペルチェデバイスとバッテリーは別売り
中身は工事用ヘルメットなどを作られている「
昭和商会」さんというメーカーです。
売り切れなのでどんな物かわからない。
評価欄を見ると、幅が広くて首を動かすのに障害があるみたいですね。
もう一社がこちら。
「EXFROZEN
サンエス 冷却ウェア デバイスセット」
ユニフォームなどを作られている「サンエス」さんというメーカーが販売されています。
衣服部分は空調服、首元がペルチェ冷却のハイブリット商品です。
いずれも使用していないので効果の程はわかりません。
他に数社あるかもしれません。
私が考えついたのと同じことを考えた人がいたんだ!(゚∀゚)
↑何故か上から目線
暑さに耐えられる体が出来ていないと、気温30度を超えたら空調服単体で暑い場所で仕事をするのは無理がある。
空調服と体を冷やすもう一つ何かとの組み合わせを考えて併用するのが理想的だと思うのです。
結論:熱中症の予防をするなら、
空調服で排熱しながら、首筋(&脇の下)を冷やす!(冷却方法は問わない)
これ最強!
ということになりました。
*あくまで個人の感想です。
短時間の使用で手間暇を惜しまないならばペルチェなんかより水冷服のほうが圧倒的に涼しいです。
ただ、水冷服は手間がかかって面倒くさい。(>ω<)
冷却の効果が得られる時間が短いのがデメリット。
保冷剤などを入れ替えれば持続するが、その度に服を脱いだりしなければいけないので、一気に仕事を済ませてしまいたいケースの場合は少々不向き。
保冷剤の低温状態を保つのも難しい現場なので候補には入れていませんでした。
日影はこの車の影のみという場所はやはりきつかった。
今回のアイテムは自作品でメーカーさんが想定している使い方をしていないということ。
DIYで類似のものを作ろうと思われる方は自己責任でお願いします。
ペルチェ冷却ベストの製品によっては、空調服との併用を推奨しない製品もあります。
ペルチェの大きさや排熱方向によっては、空調服の風の流れが阻害され熱気がこもり逆効果になるケースがあります。
製品ごとの特性をよく理解してからご使用になることを推奨します。
空調服も水冷服もペルチェデバイスも、まだまだ発展途中のアイテムだと思っています。
これからもっと良い商品が出てくると思います。
各メーカーさんが頑張ってくれるとありがたいです。
この記事が陳腐な内容になるほど優れたグッズが出てくることを楽しみにしています。