山の古別荘のDIY記

リゾート物件は処分できるのか? Part1

 

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 理解している限りの情報を出してみるつもりですが、間違った事柄が含まれているかもしれませんので、予めご了承ください。

 今回の記事は、非常に困難な『リゾート物件の処分』についての考察です。

 長文になりますので、先行してアップしてありますYoutube動画の方をご覧いたたければ、概ねの要約をおわかりいただけると思います。
 (動画編集の手間やYoutubeの規約の都合上、動画の方は内容を簡潔にしております。)

 
 私が別荘を購入した当初から処分については課題であって、現在でも色々と模索しています。
 永久的に別荘通いが出来るわけではありません。
 車の運転もあと10年もすれば免許返納を考えます。
 継承者のいない会社の経営者ですので引退という期限も定まっておらず、別荘地で定住というわけにもいきません。
 年令を重ねるごとに時間が少なくなって来ていますので、処分という事柄は少しずつ忍び寄ってきています。





 別荘所有からちょうど10年を経過しましたので、今までの経験や現状の制度を踏まえて、理解している範囲で処分についての考えをまとめて記してみます。
 これから処分をお考えの方、セカンドハウスを購入しようかとお考えの方、終の棲家として利用しようとされている方々の何かのの参考になれば幸いです。


 尚、農地や山林、リゾート地などの価値の乏しい不動産を、必ず処分出来るという内容の記事ではありませんのでご注意ください。


Youtube動画:ダイジェスト版ですので内容は端折ってあります。






現在のリゾート不動産事情

 昨今の不動産事情を聞きかじった方ならおわかりになると思いますが、不動産の資産価値の高い物件の多くは、人口の多い都市近辺にあります。
 不動産の資産価値は立地によるところが大きいと言って差し支えありません。
 立地の良い場所は資産価値が高く、好立地条件から離れれば離れるほど不動産の価格が急激に下落していくのは、皆様よくご存知のことと思います。




 
 リゾート地、別荘地も同じで、需要のある人気の地域以外は不動産の価値は急激にダウンします。
 人気のある場所、例えば軽井沢や関西の白浜などを見ても、評価の価額が高いのは中心部。
 軽井沢と言っても広範囲のエリアを軽井沢と呼んでいますが、本当に人気のある地域は「旧軽井沢銀座」と呼ばれる観光名所・施設を中心としたエリア。
 白浜も同様で、海水浴場の白良浜と隣接した温泉街の近辺に人気が集中していて、別荘地はそこから車で15分もかかるような場所まで点在して存在しています。(中には海の見えない別荘地もあります。)

 バブル好景気の際に、リゾートブームが沸き起こり、猫も杓子もひっくるめて山間や海辺をリゾート物件として開発販売されたものの、その後のバブル崩壊と長期に渡る不景気で、人里や観光地から離れて不便な物件などは急速にその存在価値が失われていきました。

 過疎化しているような山間部や僻地の不動産、しかも築年数を経た中古物件に、もはや価値など皆無と言っていいかも。
 需要が全く無い。
 使わなくなったり、相続で継承者がおらず売却や譲渡を決めても、値段がつくどころか買い手すらいないのが現状。


 不動産を手放せない最大の問題は、固定資産税の納付義務が永遠に続くこと。
 これに加えて会員制リゾート不動産では、所属する管理組織への年会費をずっと請求されます。

 おまけに宅地や農地では害虫・動物の住処にされ、近隣住民からの苦情が舞い込み、建物が古くなってくると倒壊・不審火などの危険が高まります。
 いつの間にか不法住居者が居座ったり、犯罪の拠点などにされたら目も当てられません。


 所有不動産が幾らかの価値があり、少ないけど需要があるのならば捨て値でも売却することが可能です。
 ところが、山奥や僻地などの超不便な物件では価値を見出す人が現れる可能性は極めて低いです。
 敷地や建物の維持を怠って廃墟化すれば、更に処分の目処は立ちません。

 所有していた当の本人は自己責任なので良いとして、相続などで背負わざるを得ない子供たちはたまったものではありません。

 「安易にリゾート物件を買ってはいけない」と言われる理由です。





 少し話がそれますが、高齢者の方がリゾート物件の不動産を人生最後の住まいとして、今まで住んできた家を処分して移住することには賛成しません
 更に年老いた時に再び人の住む町中へ戻る意向だという考えなら構わないです。


 なぜなら、別荘などの建つリゾート地は不便すぎます。

 生活に必要な食料、日用雑貨の購入に何十分もかけて車で往復しなければいけない。
 病気になっても病院までが時間がかかる。
 助けを求める人が周辺に住んでいない。

 別荘地を管理する会社によるサービスが有り、食料などの配達システムが整っているとしても、様々な面で不都合、不便に見舞われることになります。

 リゾート地に定住するならば、その後のことも考え合わせて計画立てることを推奨します。





法人所有、法人化のススメ

 注:このことは法人化が可能であるという方へのお勧めです。


 ある別荘地に1軒の別荘があります。
 その別荘は個人所有ではありません。
 とある会社が所有する法人資産です。

 会社の福利厚生施設で法人が別荘を所有するのはよくあること。
 でも、この会社には従業員はいません。
 福利厚生施設でもありません。

 この別荘はこの会社の『本社社屋』です。





 とある会社がありました。
 長年続く不況で会社の仕事が徐々に減っていき、遂には廃業するしか無いような状態になりました。

 社長ただ一人の会社。
 もちろん売上も利益も生み出しません。
 社長さんは会社を閉鎖しようかと思いましたが、 せっかく作った会社を閉めてしまうのはもったいない。
 手元に少しだけど資金が残ったし、僅かな収入もある。

 法人組織という物をを活用しよう。
 残った手元資金を使って何かしよう。
 手持ち資金で買うことが可能な不動産を買って収益物件にしてみよう。

 そう思いついて不動産の売買情報を収集しましたが、都心部などで入手出来るような収益物件は安価なものではありません。
 分譲マンション1室でも数千万円。
 建物1棟となると簡単に億単位の領域に入っていきます。

 とてもじゃないが購入できるような金額ではありませんし、よい年になった自分が今更ローンを組んでまで業界に参入するほどの元気さはない。

 ふと耳にしたのがリゾート物件。
 バブルの頃はお金持ちが猫も杓子も購入した別荘やリゾマン。
 当時は数千万円、数億円もしたものが、今や中古物件として数百万ぐらいで入手出来る。

 これなら余裕で買える!
 さっそく別荘だどのリゾート不動産で良さそうなものを物色し始めます。

 最初は農村部の古民家も考えましたが、その地に永住するわけではないし地元の人との軋轢を考えて、一戸建ての別荘を購入することにしました。

 とは言っても法人での購入。
 レンタル別荘とか賃貸にして収益物件という名目で購入します。
 この別荘を会社の本社社屋として登記し、社長さん個人が社宅兼事務所として借りて毎月家賃を支払って会社の売上とし、その他の僅かな収益を合わせて、建物維持や法人組織の維持にあてがうことにしました。

 建物の評価額が低いので豪華社宅でもありません。
 ですから家賃設定も安く済みます。
 田舎なので事業所税もかからないし。

 ですが、観光地や名所から離れており、近隣にレジャー施設も無いため、少しだけレンタルや賃貸を募集してみましたが一向に集客できません。


 時が流れ、資産運用や収益化の目的はいつの間にやら消えて。
 今や社長さんの道楽としての物件になっています。

 法人の社屋なので水道光熱費や備品購入は経費で落ちます。
 法人の資産なので相続の対象にもなりません。
 注:個人の持ち株は相続対象になります。


 全てが合法です。

 注:幾つか注意点があります。
 後ほどご紹介します。






 不動産は総じて法人所有の方がお金がかかります。
 税務申告をしなければいけませんし、住民税の均等割も法人ですから個人より高いです。
 しかしながら、税制面や資金のやりくりなどを合わせて判断すると
 殆どの場合法人、事業者として所有した方が有利な点が多いです。

 しかし、利益の出ない仕組みでの運用や、資金繰りがショートするような不動産を買うなど論外です。
 会社の黒字減らしのために購入するのは経営テクニックとしてはアリですけど。

 注意していただきたいのは、会社施設と言ってもあまりにも豪華な建物は、安価な家賃設定は税務署は認めません。
 経営者個人しか使用しないような別荘は、福利厚生施設としての損金勘定は認められず、経営者の給与所得の扱いにされます。
 (個人収入となるので個人の所得税を納めなければいけなくなる。)
 国税庁のページに、法人所有の不動産を社宅として貸したときの家賃の算定式があるので参考にしてね。
 計算は役員と従業員では異なるよ。


 収益物件として扱うのではなく最初から社長に賃貸する目的のためだけで作った会社なんて言うのは、維持費などの経費計上は否認されかねません。
 会社の経営実務をされている方ならよくおわかりと思います。
 不動産の処分の時についても法人の方が何かと有利です。
 それについては後ほど。






個人所有のメリット

 セカンドハウスとしての利用なら、固定資産税、都市計画税、不動産取得税の減額の優遇措置がある。(条件あり)
 本宅として永住ならば自治体の支援が受けられるケースが有る。
 資産活用が可能。(規模、立地条件次第)
 相続財産として残せる。(資産価値は立地条件次第)


個人所有のデメリット

 大規模リフォームや省エネ増改築などの所得税の控除は受けられない。(本宅として永住する場合は別)
 住民税(均等割)はセカンドハウスの分も発生する。
 資産価値が乏しいと売却、譲渡が困難。
 放棄や自治体への譲渡が難しく相続人の負担となる。


法人、事業者所有のメリット

 設備維持に関わる諸費用、修繕費などを経費計上出来る。
 社宅、または、福利厚生施設として活用出来る。
 減価償却で利益の調整が出来る。
 相続は発生しないので相続税の対象外。

法人、事業者所有のデメリット

 建物減価償却など毎年税務申告が必要。
 税制面の優遇措置は受けられない。
 相続財産とはならないが、売却、譲渡、放棄は困難。(規模、立地条件次第)





Part2へ続きます。




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