リコーPENTAXのカメラは各社有名メーカーに押されて既にマイナーな存在になってしまいました。
レンズもたまにしか発売されず、寂しい感じです。
ただ、ペンタックスのデジタル一眼レフカメラは、
『昔のレンズが普通に使える』
が最大の長所。
非常にユーザーを大事にするメーカーです。
レンズ沼という最悪のケースに陥りやすいメーカーでもあります。f(^ー^;
今回取り上げるのは単焦点の「85㎜」と言うサイズ。
現在、現行製品では85㎜という焦点距離の製品は製造も販売もされていません。
ロードマップでは販売される予定なのですが、現在の販売ペースではいつになるか全くわかりません。
PENTAX社は長い歴史の中で多くのレンズを世に出してきました。
幾つかの85㎜焦点距離のレンズを所有していますので紹介いたします。
レンズ沼に足を突っ込みかけの貴方。
どうぞ参考にしてください。
その1
Auto-Takumar 85mm F1.8。
ペンタックスがアサヒペンタックスという社名の頃。
一眼レフカメラが世に出てきた頃にAuto-Takumarというシリーズで販売されたレンズ群。
一番最初は「Takumar」と言うシリーズでしたが、これはその次の世代。
1958年から1960年頃という、私がまだ生まれていない時の非常に古い製品。
マウントは現在のKマウントではなく、スクリューマウントと呼ばれるM42。
TakumarやAuto-Takumarの頃のレンズは絞りリングが一番前にあるのが幾つかあるんです。
この時代のレンズには多いみたいです。
これ以後の年代には各社ともあまり見かけないスタイルです。
絞りの羽根は9枚。
さすがにこの時代のレンズともなると、いい製品の数はあまり残っていません。
かと言ってプレミアが付くほどの値段でもない。
出てくればそこそこの価格で買えます。
傷やカビのない良品で2-3万円ぐらい。
ただ、85㎜の焦点距離は人気なので、手ごろな価格で出てくれば短時間で売れてしまいます。
肝心の画像の方ですが、フィルム時代のレンズと言う言葉から想像するような甘い画像ではありません。
デジタルカメラでも絞ればカリッとした写真が出てきます。
色乗りも良く、嫌なくせもなくボケもきれいな優等生。
ずっと後に出てくる、A☆やFA☆があまりにも良すぎるので、そんなのと比較したら可哀想です。
銘玉とは言いませんが、現在でも充分に使用出来るいいレベルのレンズだと思います。
なかなか安価では出てこないですが、もし、どこかで程度の良い製品を見つけたらコレクションに加えてあげてください。
その2
ソフトフォーカスレンズ、と言うのは各社が作っていてとりわけ珍しい物ではありません。
ぼやっともやがかかった描写をする時に普通のレンズにフィルターを装着して、表現の一手法として用いられています。
それをレンズの中に組み込み、収差を利用してソフト効果を演出させるために作られた製品。
このレンズで撮影するとぼやーっとしたほわんほわんの画像が出てきます。
絞り値が2.8から5.6までの間がソフト効果が出せて、それ以上に絞ると普通のレンズ同様、くっきりした画像が出てくるので、いちいちフィルターを取ったり嵌めたりしなくても良いようになっています、
ポートレートなど女性を撮影する時には柔らかく優しさが出ていいのだけど、私のように風景一辺倒で使用するとこのレンズは使いにくくて仕方がない。
レンズ自体はオートフォーカスでカメラがピントを合わせようとするのだけど時々迷走する。
絞りはマニュアルなので結局マニュア操作をすることになるのでオートフォーカスは意味が無い。
暗い場所での撮影だとどこにピントが合っているのかわかんなくて、ぼわっとしたファインダーを見つめ続けているとしまいに気分が悪くなってしまう。
どんな写真が出てくるのかわかんなくて最適な絞り値が決められない。
などなど。
ボケが特有な物になって、これはこれで味わいがあるのだろうけれど、被写体によってはピンぼけか手ぶれ写真のようになって壊滅と言うこともあります。
熟練と慣れが必要なレンズで、殆ど使用することなく防湿庫で眠っている存在になってしまいました。
年の離れたかわいい恋人でも出来たら大いに活躍するんだろうなとは想像するが、そんなことおそらく死ぬまであり得ないだろう。(×_×;)
売ってしまおうかと思ったのですが、高い値段では売れないので何だか悔しくて今でも所有しています。
カメラがデジタルになってからくっきりしゃっきりの画像が主流になって、今はソフトフォーカスレンズは製造販売するメーカーが少なくなっています。
どこかで見つけたら1本ぐらいは持っていても良いかも。
なんだ、またsoftレンズか!と思われるでしょうが、今回の物は一風変わっています。
レンズ構成が1群2枚。
たった2枚のガラス板だけで出来ているレンズ。
絞り羽根は5枚。
写真をご覧のように絞り値はF2.2からF5.6までしかない。
つまりソフト描写に特化したレンズです。
1986年頃に製造されていた物で、もちろんマニュアルレンズ。
PENTAXのレンズ群の中でもいっとう変わった俗に言う「変態レンズ」と呼ばれるレンズのうちの一つです。
何が変態なんだ?と問われたら。
まず形。
壺のような形状で、カメラに装着すると絞り輪がカメラ本体の高さから少しはみ出して座りが悪くなります。
絞りがソフトに特化しているため、ファインダー越しに覗くとふわーっとした絵が写り出され、一旦絞ってソフト効果を無くしてピントを合わせてからソフト位置に戻すという技が使えず、非常にピントが合わせにくい。(>ω<)
で、一番変態らしいのはその描写。
普通に風景や人物を撮影するだけならば、ほわーっとしたソフト効果が出て単なるソフトレンズなのですが・・・。
このレンズをある一定の大きさの点光源、イルミネーションなどを撮影すると・・・
F2.2開放
これは大阪にある遊園地、ひらぱーの大観覧車ですが、こんな幻想的な画像が飛び出してきます。
で、少し絞ってやると・・・
F2.8
絞り羽根5枚の特性でこんな不思議な形になります。
F5.6
色や照明の形によって千変万化。
撮影したらどんな画像が飛び出してくるのか予測が付かないのでたいへん面白いです。
ただ問題は、このレンズで撮った写真の使い道が無い。
すぐに飽きてしまう。
と言うのが難点です。(;´Д`)
中古市場では皆さんすぐに飽きてしまうのか、絶えずこのレンズが出品されています。
興味のある方は一度お試しあれ。