Part2からの続きです。
最終話です。
リゾート資産の処分について みなさんはもうご存知と思いますが、
あらためて不動産の処分とはどういうものか記述しておきます。
不動産の処分は、建物は解体して廃棄すれば無くなりますが、土地は廃棄するということが出来ません。
日本の制度では土地には必ず所有者がいます。
国や地方自治体であったり、企業であったり個人であったり。
現在の所有者は土地の所有権を放棄や廃棄することは出来ません。
誰かの所有の土地を処分するというのは
所有者を変更する、ということになります。
所有権の移転は、売買、譲渡(寄付を含む)という方法しかありません。
所有する土地の権利を誰かに移転したくても買う人がいない、貰ってくれる人もいないとなるといつまでも永久的に所有しなければいけなくなります。
もともと日本の国土は国の物だからと、国や自治体に返却、つまり、貰ってくれるようお願いしても、資産価値の乏しい土地は受け取ってもらえないのが現状。
それが今の日本の国内で多くの方を悩ますこととなっています。
別荘などの不動産も放棄は出来ないので、売却、譲渡しか処分方法はありません。

有名別荘地のような資産価値が高い物件ならまだしも、あまり知られていない山奥の別荘など資産価値は低いです。
これまで説明してきましたように、所有する別荘の価値を高める努力をしながら物件に魅力を感じてくれる、良い買い手が現れるのを待つしかないです。
売却については、殆どの方が専門の業者に依頼することになりますが、業者の力量が弱く、十分な宣伝がなされなかったりすれば、人の目に触れることすら難しくなるので、業者選びや宣伝媒体にも気を使うことになります。
別荘地管理会社や地元の不動産屋によっては、程度の良い物件ならば下取りや譲渡を受け付けるという会社もありますので一度打診してみるのも良いでしょう。
幸運を祈る! としか言えないです。
他に手段はないのか?
と思われる方は多いと思います。
これから幾つかの事例を紹介いたします。
実際にあった事柄です。
何かの参考になると思います。
よかったらご覧ください。
その1 ある旅行会社がありました。
この旅行会社は長野県の山奥に別荘を一つ持っており
周辺の観光施設を利用する方へ宿泊施設としてレンタルしていました。
夏場の避暑、冬場のスキーと別荘の利用者も多くいました。
バブル崩壊とともにスキーブームも下火になりこの会社も経営が悪化し破産に追い込まれました。
会社整理で法人資産であるこの別荘も処分されることになりました。
破産管財人が付き手続きが始まったのですが、この別荘は売却の可能性が低く処分が見込めないとして破産財産から放棄されました。
破産財産から放棄されるとその物件は、清算法人(整理中の会社)の元に返され、会社の財産として残ります。
破産手続きが完了すると、清算法人に役員が不在になり不動産が所有権が残されたままになります。
本来なら清算法人がその維持をしなければいけないのですが、実際には誰もいなくなった会社ですので不可能。
このまま放置された不動産というのが結構あるのです。
それは私道であったり、山林であったり、中には水路のような物もあります。
廃墟になったリゾート物件も多く存在します。
その2
不況が長引き、継承者もいないため多くの個人商店や会社が廃業しています。
正式に廃業するにも費用がかかります。
タダでは裁判所も弁護士も動いてはくれません。
それなりの費用がかかります。
廃業については会社の帳簿上の赤字が多いと、それを帳消しにするのに税金かかかったりしてみだりに廃業も出来ません。
詳しくは税理士さんに聞いてね。
廃業に費用がかかりすぎると言って、放置しておくと毎年住民税の均等割など税金もかかってきます。
そのため、事業を終えた会社の多くが休眠会社としています。
役員変更などの登記が一定期間(今は12年かな?)以上行われない休眠会社は法務省の判断で「みなし解散」の手続きがされます。
会社の継続も整理もしていないと登記を怠っていたとして過料(罰金)が課せられます。
法務省は未登記の会社に対して、「あなたのところ登記が更新されていませんよ。解散の手続きしちゃいますよ~」という内容の通知を登記所から発送を行うのですが、宛先不明として返送されてくる件数がかなりあります。
(平成24年度では約6万社)
宛先不明ですから代表者も責任者も行方不明。
会社が解散したとみなして登記簿から抹消されます。
抹消されたからと言って清算の手続きが済んでいない会社が消失したわけではありませんが、事実上会社は消えてしまうのと同じです。
とある別荘地に廃墟同然の別荘があります。
ベランダは崩れ屋根も崩落しています。
この建物の敷地区画には法人名の識別表が立っています。
この別荘の所有法人はこの世には既に存在しないのでは?
と私は推測しています。
その3 「所有者不明土地」が全国に広がって存在します。
所有者のわからない土地だけでなく、空き家も含まれます。
村で共同で使用していた土地とか、複数家族で使用していた土地などは、不動産の正確な所有者がわからない。
所有者がわかっても現在の居場所がわからない。
土地境界も定かでない。
どこからどこまでが誰の物かわからないので、相続人が決まっていない。
決まっていないから相続がされていない。
相続が無いから登記もされていない。
という理由が多いのです。
そういう状態でも登記の期限や罰則が無いので『誰も困らない』ということでますます放置されたままなのです。
2016年時点で、全国の土地の2割に相当する広さの不明土地が存在しているそうです。
日本ではそのような土地が年々増加していっています。
登記はなされていなくても所有権者は固定資産税の納税義務はあるのでお間違いなく。
しかし、実態は。
登記簿に載っている住所に所有権者が死亡や転居で既にいない。
所有者が不明なので固定資産税の納付書の宛先がわかりません。
各自治体は所有者特定、相続権者の代表者などを特定しようとしていますが、相続の上に相続が重なってややこしいことになっている場合もあります。
現在の制度ではどうにもしようがないというのが実態。
今回、ここに挙げた事例は、適法ではない状態で、本来はあってはならぬこと。
故意にこうしようとしてなったのではなく、成り行き上なってしまっている事例です。
制度の不備で生じた事柄で、「グレーゾーン」というやつです。
この記事は違法行為を助長する目的で作成したものではありません。
ですから故意に上記の事例に類似するような不動産処分を行うことは犯罪行為ですので絶対におやめください。
しかし、これらのように宙に浮いたまま放置され適法では無いものが、この国に多く存在するということも間違いではありません。
以上でこの記事のシリーズを終えます。
最後に、少しだけ。
私の基本的な考えは
こちらのページに記載していますが、リゾート物件を含む農地や山林などの不動産が、もっと簡単に、もっと低コストに、欲する人や次の世代へ受け継がれ活用されることを願っています。
所有差不明土地について、政府は平成30年に「
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」、
令和元年に「
所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン」、
令和3年3月には民法や不動産登記法の改正案と新法の「
相続土地国庫帰属法案」が提出されました。
相続時の不登記に対する罰則強化と、どうしても所有者が判明しない土地についての解決のガイドラインですが、手続きや話をややこしくしているだけで根本的なところが解決されていない感があります。
だいたい、市町村や国でも譲渡や寄付の受け取りを拒否するような無価値の土地に、評価額という過去の数値をそのまま当てはめて、税を取り続ける、登記させて所有者を縛り続けようとすることに無理がある。
登記がされてない、税金も払ってない、所有者も出てこない、そんな土地を民間が活用しようとしても、裁判所に許可を得て・・・なんて時間も費用もかかることをしろと。
現代の風潮にそぐわないのにいつまでも頑なに守り通す愚をいつまでやろうとするのか。
まあ、今(2021年春現在)の政府や官僚様に期待していないし、期待もできない。
今の政治家に全権を委ねたら後のことを考えず、外国人に格安で平気で売っちゃうだろうね。
住んでもいない、活用もしていない土地に永久的に縛り付けよう、税を取ろう、放棄は許されないなんて一方的な大昔の制度。
『逃散・欠落』って知ってますか?
と、国のお偉いさんに聞いてみたい。
注:
逃散 (Wikipedia)
土地の測量さえ行われておらず、境界や面積でさえ曖昧。
測量や登記に大きな費用がかかる。
維持費が無限に続く。
下手すりゃ管理責任まで問われる。
そんな物、誰もが無理に背負いたくはないでしょう。
今のお偉いさん達は、問題が提唱されるとすぐに一時的に補助金とかだけ出して、時間が経てば元に戻して絞ろうとする。
もっと簡素化、ローコスト化して、こう言う物件を欲しがる人、活用出来る人、若い世代に循環させていく制度を作らないと永遠に解決せんでしょう。
まあ、頭の固い欲にまみれた大人達の思考では無理か。 箱物作って利権化しようとするし。
安くして売買すると、今度は適正価格ではないから譲渡税取るとか、税務署がふざけたことを言うし。
それじゃあお前らが適正価格とやらで買えよと・・・。
将来、この国の政治を担う人が、不動産に関わる画期的な法整備をしてくれることを期待しています。
ワタシニハソレダケノ ノウリョクガナイ
尚、この記事は2021年までの状況を取り上げています。
今後何かの変化があるかもしれません。
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