山の古別荘のDIY記

壁紙ペンキを塗ろう その2

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その1からの続きです。


 壁紙に塗ることが出来るペンキを小傷や扉などで使用してみた結果、何の問題もなく極めて良好な状態に塗装が出来るとわかりましたので、リフォーム現場の一室全体の壁紙に使用してみることにします。


 現場は約6畳の洋室。
 壁紙は汎用タイプの壁クロスが貼られてあります。





 まずは養生から始めます。

 塗装を行う時は1に養生2に養生、3,4がなくて5に養生と言えるほど大事な作業。
 マスキングテープやマスカー(テープ付きのビニールシート)、ビニールシートを張り巡らし、塗料が塗ってはいけない場所に付着しないようにマスキングを施します。


 


 このマスキングに使用するテープやシートに意外にも費用がかかります。
 コスト面に関しては新規の壁紙を貼った場合との比較を後述いたします。

 コンセントカバーは取り外し、床面もシートを張ります。



 注:この床は塗装後張り替えるので養生は巾木周りだけ行っています。


 エアコンもきちんと養生します。





 この部屋は空室なので家具はありません。
 家具などがある場合は全てシートで覆います。

 天井の枠周りにもマスキングを行います。





 このマスキング作業が一番厄介で時間がかかります。
 他の作業をしながらだと一室の養生で二日がかりということもあります。

 マスキング作業を手抜きすると失敗した時ダメージが大きいです。
 一般の方はこれを面倒臭がって中途半端な養生を行うことが往々にしてありますが、塗料がはみ出したりして汚く見えたりすることがあります。
 きちんとしたマスキングを行うことが塗装の上手下手を左右すると言っても過言ではありません。

 どんなベテランのプロでも必ずしっかりとした養生を行います。
 自分はミスしないから大丈夫だよという過信や、ここら辺はペンキを塗る場所から少し離れてるから大丈夫、なんていう甘い考えは禁物。



 マスキングしていない場所まで飛び散ったペンキ。


 飛び散った塗料で大事な家具や衣類などを台無しにしてしまったらたいへんです。
 とくにローラーを使って塗る場合は細かい塗料が飛び散ります。





 養生が終わったらいよいよ塗装を開始します。
 塗る前に、濡れ雑巾などで壁紙に付着しているホコリなどを拭き取っておきます。


 今回は「ピュアホワイト」を使うことにしました。
 後で私のミスで色が変わることになります。
 広い面だからローラーでいいだろう。と思ってローラーで塗り始めました。

 少しずつ塗っていてあることがわかりました。

 塗料をきちんと塗ることが出来ない!(;´Д`)ノ



 注:わかりやすくするためにコントラストを調整した画像です。


 この部屋の壁紙の模様パターンが小さな凹凸のある物。

 工務店が使用する壁紙というのは、特に指定しなければ一番安価な汎用壁紙を使います。
 汚れを目立ちにくくするため、少しアイボリーがかった色合い。
 つなぎ目や補修箇所を目立たなくするために、凹凸の入った壁紙がよく使われます。





 凹みに塗料が入って行かないのです。
 わずかな深さの凹みなのですが、凹みの部分の色が濃くて、残ると汚れたように見えます。

 ローラーだとたっぷりとペンキを付けてぐっと押しながらでないと塗ることが出来ない。
 塗料が垂れてくるし、ぼとぼと落ちたりするので非常に不経済です。
 面倒くさいですが仕方がないので刷毛に変えて塗っていきます。

 刷毛でもなかなか凹みにささっときれいに塗れなくて刷毛を縦横斜めと動かして塗らなければいけません。



 注:わかりやすくするためにコントラストを調整した画像です。


 更に、もう一つのデメリットに気づきました。

 塗料がそこそこの粘度があるためすーっと塗れてくれない。(>ω<)

 凹凸がないフラットな壁紙だとこういうことは起きないと思います。

 とにかく時間がかかって仕方がないし、塗料も多めに使用してしまいがちになる。
 どうしよう?
 しばらく考えました。


 ・・・そうだ!水でシャボシャボになるまで薄めよう!!(゚∀゚)


 水性塗料ですから真水で薄めることが可能です。
 薄めることで粘度が低くなるのでスムーズに刷毛を動かせます。 
 しかも凹みに塗料が入りやすい。

 但し、これをやると塗りムラが出来ます。
 しかも、刷毛からしずくが垂れてポタポタと落ちることが多くなります。

 一度塗りの予定でしたが、ムラが出来たら二度塗りすることに決めて塗装再開しました。
 使用している塗料は原液に8%ほどの水を加えてから使用するタイプの物でしたが、更に水を入れて20%ぐらい薄めたものにします。
 案の定、スムーズに塗ることが可能になりました。

 一気に塗っていきます。





 この日は部屋の1/4ほどの壁面を塗り終えました。
 想像通り塗装面はムラが出来ています。





 まだ完全に乾いていないので何とも言えませんが、やはり二度塗りは必要かな?と思いこの日は終了しました。





 翌日。
 塗装作業の続きを行います。

 てっきりムラだらけだろうと思っていた塗装面は、乾燥して馴染んだのか、壁紙に染み込んで広がったのか、とてもきれいな状態でムラがほぼありませんでした。ヘ(^^ヘ)(ノ^^)ノ





 これはいける!!\(^▽^)/

 どうやら一度塗りで全部済みそうです。


 気を良くして新しいペンキ缶を開けます。

 あれ?(´・ω・`)

 色が違います。
 ピュアホワイトではありません。
 ラベルを見るとクリームホワイトと書かれてあります。

 業者の野郎、間違えやがったな!!

 クレームを入れて交換してもらおうと事務所に帰ってパソコンの発注内容を確認します。


 クリームホワイトで発注してるよ・・・・ヽ(TдT)ノアーウ…


 大量に仕入れちゃいました。(8kgで6畳間2つは軽く塗れる量)
 今更再度仕入れ直すのも手間です。

 ええい!上から塗ってしまえっ!!





 別に違和感ありません。
 問題ありません。
 最初からこういう色に近い壁紙でしたし。(;^_^A

 昨日と同じように水で薄めて塗っていきます。





 塗りムラは全部塗り終えてからタッチアップします。


 6畳一間塗り終えるのに3日がかり。
 完成しました。








 やはり薄めて塗ったのでかすかにまだらになっています。
 最初からこういう壁紙のカラーだと思えば違和感は無いですが、気になる場合は二度塗りしたほうがいいでしょう。

 面倒だし手間なので、塗り忘れした場所や、まだらがひどい部分だけピックアップして重ね塗りして終わりにしました。
 ぱっと見て違和感は全く感じられません。
 クロス表面の汚れなどは全て消えました。





 今回の作業でわかったこと。
 まずはメリットから。

 ・これぐらい汚れていた箇所は一度塗りしただけでわからなくなりました。





 けっこうひどい汚れの場合でもその部分だけ重ね塗りをすればわからなくなります。

 基本的に塗装は明色から暗色へ塗る場合は、汚れや元の色を簡単に隠すことが出来ますが、暗色から明色に塗る場合は何度も塗り重ねないと無理です。
 今回は白地(ほんのりアイボリー)にそれより濃いクリーム色を塗ったので一度塗りで済んだのだと思います。
 これがピュアホワイトのままだと2回以上の重ね塗りが必要だったかもしれません。


 ・一般的なペンキなどの塗料は油性、水性共に塗ると厚い塗膜を作ってベターッとなってのっぺらになるのですが、この塗料は壁外の素地に馴染んで壁紙自体の質感を保ちます。
 見た感じも手で触れた感じも違和感が無く、壁紙に塗料を塗ったというようには見えません。






 続いてデメリット

 ・原液、又は、説明書きに従って既定まで薄めた場合のままだと非常に塗りにくい。
 ・壁紙のタイプによって塗る方法を工夫しなければいけない。
 ・柄のある壁紙だと柄はほぼ消えてしまい、単色にしか塗れません。(絵心があって様々な色を使って模様を描けるなら別ですが。)




 さて次に、壁紙を新規に張り替えるのと、壁紙ペンキとの比較をしてみます。

 ①費用
 一般的な洋室の6畳一間で比較してみます。

 壁紙を張り替える場合、必要な長さは約30mぐらいです。(窓等有るか無いかで長さは前後します。)
 ネットで一番安価な汎用壁紙でのり付きを購入するとだいたい5000円前後(税込み送料込み)。

 
 塗料の場合、必要な量は約4L。(壁面のみ)
 ネットで一番安い壁紙用ペンキは4L缶で約4000円ぐらい(税込み送料込み)

 あまり変わりませんが僅かに塗料のほうが安い気がします。 が!
 養生用のマスキングテープやマスカー、ビニールシートの購入費用を加えると、ペンキの方が遥かに高いものになります。
 (だいたい3000円ぐらい加算されます)

 ケースバイケースですが、この壁紙ペンキを使った場合のほうが僅かに費用が嵩むと思います。


 ②手間

 壁紙の場合は既存の壁紙をめくって剥がし、下地に凹凸がある場合はパテなどを塗って調整する。という手間があります。

 塗装の場合は塗り始めるまでの養生が面倒で時間がかかります。

 手間はいずれもほぼ同じかと思います。


 ③施工のしやすさ

 
壁紙は予めのり付き壁紙を使用すれば、のり付けなどの手間が不要で、のり面のシートを剥がしながらの作業で労力はあまりかかりません。
 しかしながら、まっすぐ垂直に貼っていき、壁紙との隙間をきちんとつないだり、縁をきれいにカットしていくのにある程度熟練を必要とします。
 使用する壁紙の歩留まりを考えながら作業しないとつなぎ目だらけになったりします。
 部屋の形状によってはコーナーの処理、特に柱や梁などの段差があると途端に難しくなってきて、慣れないうちは処理がうまく出来ません。
 紙が破れたりしやすく、一度貼ってしまうと再び貼り直しするというのが困難で、材料を無駄にしてしまうこともあります。

 
 一方、ペンキですと下地などが既に出来上がっているので、縁の部分や枠などの回りに少し神経を使うだけであまり慣れなどは必要ではありません。
 塗り残しや仕損があれば後で手直しが出来ますし、塗った色が気に入らなければ再びその上から別の色を塗って修正することも可能です。
 ただ、常に手を動かして移動していくので、けっこうな体力を要します。

 慣れと練度が必要=壁紙
 労力が必要=ペンキ


 となります。


 ④素材や色の選択

 
壁紙はこの世にどれぐらい種類があるのでしょう?
 カラー、模様、質感などの組み合わせで数万種類の物から気に入ったのを選ぶことが可能です。


 壁紙ペンキは単色でしか描けません。
 壁面に絵が描けるならばいろいろと工夫が出来ます。

 現在、この壁紙ペンキは私の知るところでは70色ぐらいの色から選択することが出来ます。
 メーカーにより微妙に色合いが異なります。
 素人では少し難しいですが調色ができれば無限に広がるでしょう。


 結論

 費用:総額で考えるとペンキの方が費用がかかります。
 労力:壁紙の方が楽です。
 手間:ほぼ同じ。
 熟練度:塗装の方が簡単です。



 次の項では、私が壁紙ペンキを使用して様々な実験をしてみました。
 その施工例を書いていきます。


その3へと続きます。


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